文  化 東京港区 中国語サークル 北京倶楽部

阿司匹林 
★★★☆☆


題名“阿司匹林(a si pi lin)”とは、誰でも知っている鎮痛剤アスピリン」。
果たして、微妙な年頃の女性の心の痛み、不安、恋愛の解毒に効用のある「アスピリン」なんてあるのでしょうか
あるなら、それはどんなモノ
ヒロイン自身、そしてスクリーンのこちら側のあなたなら、どんな「アスピリン」を選択するのでしょうか

主演の女優 梅婷(mei ting)が出資・プロデューサーを兼ね、彼女の夫が監督・脚本を担当した2006年公開の彼女の意欲作です。
梅婷いわく「現代女性のための、新しいタイプの女性映画を目指した」「多くの女性が、本作品と自分の恋愛経験をダブらせて、それぞれに異なるモノを感じ取ってほしい」。隠微で美しい映像、細部にもこだわった美術と音楽…。現代女性に向けてメッセージを込めたというだけに、日本の“Around 30”“Around 40”も現在進行形で共感できる作品になっています。


さて、ストーリーですが、

ヒロインの文静(wen jing 梅婷が演じてます)は、芸能雑誌の女性記者。経済的には決してセレブじゃないけど、毎晩それなりに楽しく飲食する友人たちは事欠かない…。大学中退で、特別高い才能能力があるでもなし、大きな野心を抱いているわけでもないけど、でも、一人で何とか都会で暮らしています。こんな女の子、日本にもゴマンといるから、同調できます(笑)。

仕事柄、多くのアーティストへのインタビューを通して、恋愛に対して冷めた見方をするようになった彼女。でも、偶然一人の歌手のインタビューから再び自分の過去の恋愛を振り返ることになります。「恋愛の理想と現実」に思いを馳せる中、どうしても最後の彼、真っ白なシャツを好んで着てたから小白と呼んでいた彼のことだけは、思い切れないでいる自分に気づきます。今は連絡も取れない彼だけど、忘れられない思いと都会の孤独感と疲労感…。
そこに、現れた実業家の中年男性。「僕と結婚して一緒にアメリカへ移住しよう」と言われ、揺れ動く彼女の心…。
お金と安定はある程度保障されるかもしれないけれど、この中年男との結婚生活に夢が描けるでもなく…。人生なんて、こんなものかも

ちょっと冴えない中年の実業家の男を演じているのは、実は俳優ではなくて、本物の実業家だとか
演じているというより、“地”の感じ。いやに親切でいい奴で、オマケに小金持ち。気前良くご馳走してくれて、タクシーで送ってくれて、それ以上は求めないソコソコの紳士ぶり…。こんなオジサン、10年くらい前には有楽町や新橋辺りにも生息していましたね。好景気にかれていた日本のあの頃が、今は中国の都市部に再現しています…。
製作:
監督:
主演:

    
梅婷
鄢泼
梅婷
潘石屹
宋宁
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