文  化 東京港区 中国語サークル 北京倶楽部

金大班 
★★★★☆


いま中国で一番“美人”の誉れ高い女優、范冰冰が自らプロデュース、主演した2009年放映のTVドラマです。日本でも2011年春、CS局で放送されました。

范冰冰というと、日本でもサントリーのウーロン茶のコマーシャルでおなじみですね。
確かに美人です。顔のパーツ一つひとつが確かに整っています。体格も端正にしっかりしています。日本で受けるか微妙ですが、オトコに媚びない“男女平等”の国の女性が認める“美女”の典型かもしれません。

作品タイトル「金大班」の、“大班(da4 ban1)”とは「ナイトクラブやキャバレーのフロアーマネージャー或いは支配人」。
というわけで、本作品は、范冰冰演じる金兆丽の1948年上海の高級ナイトクラブ「百乐门」でのトップダンサー時代から、台湾に逃れてクラブマネージャーを務めた1964年までの数奇な半生を描いたドラマです。
原作は、白先勇の「金大班的最后一夜」。

1948年上海のナイトクラブ・ダンサー(女給)と、そこに集う成金実業家たちの暮らしぶりが、豪華絢爛にセピア調に描写されています。ダンサー同士の客の取り合いや、客との駆け引き、華やかな舞台の裏面の彼女たちの悲哀と時代を生き抜く逞しさが興味をそそります。

范冰冰が自らプロデュースしただけあって、彼女演じるナイトクラブ・ダンサー金兆丽の衣装とメイクはバービー人形顔負けに際立っています。


さて、ストーリーですが、

中華人民共和国成立の前年、1948年、日本軍第二次世界大戦で敗退したものの、衰退一途の国民党がいまだ支配している上海。政情不安なこの地に、繁栄とデカダンスを極めたナイトクラブ百乐门がありました。ここのトップダンサー金兆丽、28歳。美貌と豪胆な気っぷでトップを張る彼女ですが、客から“玉観音”と呼ばれるほど仁義と情に厚い花柳界に稀なスター的存在でした。
彼女がこの世界に入ったのは、兄金兆亮黄少祺)の遺伝性疾病の莫大な治療費を捻出するために母親から強要されてのことでした。

でも、実は彼女の出生には秘密がありました。
金家には代々血液の致命的な疾病の遺伝があり、母親は第二子の女の子が生まれた時、その子もこの因子を持って生まれて来たことを知ります。貧しい金家では治療費がかさむ二人の病気の子供は育てられません。母親は兄金兆亮のために、やむなく自らの第二子の女の子を同じ産院で生まれた良家の赤ん坊とすり替えてしまいました・・・。
金兆亮は後日このことを知り、中国マフィアの手下となってはいるものの、妹として育った金兆丽を陰に日向に援護し、彼女のために彼女の本当の親を探していました。

金兆丽には、兄の他にもう一人信頼できる男性がいました。百乐门の客で手広く貿易会社を経営する郭世宏方中信)です。金兆丽を愛していましたが妻があったため、彼女のファンとしてクラブに通い続け、彼女や兄の窮地を救い、彼女を愛人にするでもなく、それは「百乐门の神話」として語られていました。

そんなある日、兄の金兆亮がふとしたことから、兆丽の本当の親がアメリカ帰りの大病院の院長郁永乔王学圻)であることを突き止めます。兆丽を連れて郁永乔の邸宅を訪ねようとしたところで、家の令嬢の急病に出くわします。兆丽は令嬢の病気が兄の病状と瓜二つなことから、彼女が金兆亮の本当の妹であると確信しますが、彼女の病状と彼女が家で非常に大切にされていることから、真実を告げない決心をしました。

翌日、令嬢の病状が心配でこっそり郁永乔の病院を訪ねた兆丽は、帰り際の玄関で運命的な男性に出逢うことになります。同じく令嬢を見舞いに来た裕福な銀行家の息子盛月如周渝民)です。
まだ学生の彼は、天真爛漫に踊る金兆丽をひと目で好きになってしまいます・・・。運命が二人に幾度も再会の機会を与えますが、二人の間には名誉や家柄を重んじる家の父親の反対が重く圧し掛かってきます。
上海は時代とともにはますます混乱し、そして二人は時代の運命に翻弄されて・・・。


盛月如演じる台湾のスター周渝民が、芸術派肌で神経質そうで、マザコンぽい年下の一途な恋人役にぴったりです。
仕事も恋もという日本女性の皆さん君、これからは“姐弟恋”の時代かもしれません。でもそれには、金兆丽のように毅然と信念を貫き通すために、男性の収入に頼らない経済的基盤も必要です・・・。好きなオトコと結婚したいなら、オトコを養うくらいの気構えをもとう!
現代中国の女性たちの精神的希望として、金兆丽みたいな強い美しさが理想なのでしょうね。
監督:

主演:

    
鞠覚亮

范冰冰
周渝民
黄少祺
方中信
黄秋生
王学圻 etc.