文  化 東京港区 中国語サークル 北京倶楽部

美人心計 
★★★★☆
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2010年3月初放送の西漢(前漢)第三番目の皇后となった“窦漪房(dou4 yi1 fang2)”の一代記。彼女の孤児となった貧しい幼少期から、宮廷に送られ後宮でさまざまな葛藤と闘争を経て、逞しくとぎすまされていく晩年までを描いた全40話です。
女太平記的ドラマですから、登場する男性は皇帝はじめ当然大抵ふがいなくて度胸がない・・・。こんなドラマの視聴者って、ほとんど女性なのでしょうね。

主役窦漪房を演じる台湾の女優林心如は、いささか現代的な顔立ちですが美人過ぎないところが好感が持てます。でも、少し優等生的。対照的に、後宮で窦漪房を何かと対抗する慎夫人を演じる王丽坤が、女性の危うさと嫌らしさを露骨に発揮して、トクな役回りなのでしょう、魅力的です。

古装ドラマの女性陣、40年の歳月もなんのその、10代の少女時代と50代の皇太后時代、相変わらず目尻のシワも白髪もなくて、ちっとも老けません。娘か母か区別に戸惑いながらも、画面が美しければ、まぁいいでしょう。
林心如
以外の女性陣の“つけ睫毛”のボテ盛り具合のスゴサにも感心!

善良な少女も後宮に入ったからには、いつしか権力闘争に巻き込まれ、権力に背を向ければ自らはもとより我が子の命も危うくなる・・・。ライバルを倒し挙句に権力を手にするも、得たものは孤独と国を担う圧力ばかり。求めていたはずの理想はいずこ・・・。
こんな王朝がつい数10年前まで4000年以上も繰り返されてきた国です、現代中国に姿は変われど、この縛りからいまだ抜け切れていないかもしれません・・・。


さて、ストーリーですが、

西漢初年(紀元前206年)、滅亡後の楚漢戦争(項羽との争い)に勝利した刘邦により長安を都とした新しい王朝が誕生、ようやく太平の世が訪れたかに見えました。
物語は、刘邦と苦楽を共にしたものの年齢と共に容貌に陰りが見える皇后吕氏が、自らの息子の皇帝の座を揺るぎないものとしようと、高祖劉邦の寵愛を受ける薄姬親子の毒殺を試み失敗、薄姬親子を遠く代国に封じ、その乳母を口封じしたところから始まります。

乳母の幼い娘云汐は、彼ら親子のために同じく孤児となった慎儿を連れて云汐の伯父の元に身を寄せますが、伯父の家は貧しく二人は養えません。伯父はやむなく血縁のない慎儿を街頭に捨ててしまいます。慎儿は、通りかかった妓女宿の女主人に拾われ、芸妓となります。残された云汐も、伯母から下働きにこき使われる辛い毎日が待っていました。
実は、成長した云汐(のちの窦漪房林心如が演じています)と慎儿王丽坤)こそが、のちに二代の後宮にわたって策略を巡らし合う宿敵となりドラマを展開していくことになります・・・。

年頃となった云汐は口減らしのために後宮の宮遣いに出されます。道中で殺人を犯し逃げている慎儿に遭遇、彼女は機転を利かして慎儿を助け一緒に後宮に入ることになります。慎儿は皇帝の夫人になりたくてアノ手コノ手ですが、善良で賢い云汐はただただ平穏に過ごしたいと考えていました。
いつしか機転の利く云汐は、今や皇太后となった吕氏の目に留まってしまいました。
そして、吕氏の宿敵であった薄姬とその息子刘恒(のちの三代皇帝文帝陈键锋が演じています)の封じられた代国の情勢を探るために、刘恒の妃候補として身分を偽り名を窦漪房と変えて代国に贈られることになりました・・・。

初めは吕氏に忠実に薄姬刘恒の動きを探っていた窦漪房でしたが、刘恒の誠実で民を思う人柄に触れるうちに、長安の吕氏を欺き刘恒に助言するようになります。しかし。代国の後宮も朝廷の後宮と似たり寄ったり、一人の国王を巡り栄誉と権力に魅せられた女性たちの凄まじい戦いが待ち受けていました。窦漪房がいかに叡智をもって幾度も訪れる苦境を乗り越えることができるのでしょう・・・。


※ 権力は得てしまうと、歴代皇帝や窦漪房の如く、虚しく寂しいものかもしれません。
でも人間は、企業内であれ、政界であれ、いまだに権力を求めて闘い続けています。
“中国語で、“(quan2)”は「便宜上の措置.臨機応変の措置」あるいは「暫く、仮に」という意味があります。したがって“権力”とは「暫し、便宜的に天が力を与えし」もので、決して恒久的ではないことを、権力者は重々心得て然るべしところです。世襲がよいか否かは、当然ですよね。いったん権力者となると、なかなかむずかしいらしい・・・。
監督:

主演:
    

吴锦源

林心如
陈键锋
杨幂
王丽坤
何晟铭
杨幂
罗晋  etc.