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唐山大地震 
★★★★☆


本編“唐山大地震”は、2008年の四川大地震を経て、2010年7月22日に公開された、ヒットメーカーとして名高い冯小刚監督による作品です。
興行成績も非常に芳しく、昨年の“建国大業”に続く中国共産党の国策映画であることに変わりないのでしょうが、“肉親の愛情”“家族の絆”を綾に物語を展開しており、思わず涙を誘われました。

劇中、唐山地震で一瞬のうちに最愛の夫と子供を失う妻 元妮を演じている女優 徐帆の静かな演技が冴えています。私生活では、冯小刚監督の奥様だそうですから、なるほどです。

この映画は、半分実話です。
197628日3時42分、中国河北省唐山市付近を震源として発生したマグニチュード7.8の直下型大地震が襲いました。市街地を北北東から南南西に走る断層に沿って大きな水平右ずれが発生し、激しい振動によって当時中国有数の工業都市であった唐山市は壊滅状態となり、さらにこの地震により、中国当局が公表したところで24万人以上、実際には100万人近くの人命が失われたのではないかと伝えられています。
32年前、実際に中国で起きた唐山大地震です。

1976年は現代中国にとって、大きな転換期になった年でもあります。

その前年 1975日には、台湾に逃れた中華民国総統蒋介石が死去。
そして、1976日、周恩来首相死去。
彼の死去を契機に第一次天安門事件が起こり、反四人組の気運が高まり始めます。
1976日、共産党革命の元勲、朱徳元人民解放軍総司令官死去。
1976日、毛沢東主席死去。

中国では古より、大きな災難に前後して、統治者の死去や反乱が起きるといわれてきました。

197610日 毛沢東の後を引き継いだ華国鋒主席と、江青四人組との対立が表面化し、ついに四人組逮捕へと至る…。10年以上続いた文化大革命にも終止符が打たれることになりました。

ちなみに、日本ではこの年唐山地震前日の
197627日、日中国交回復に貢献した田中角栄前首相が逮捕されています…。


さて、ストーリーですが、

北京にもほど近い唐山は、中国有数の工業都市。この町でトラックの運転手として幸せに暮らす方大強と、その妻李元妮には、5歳になる双子の姉弟、方登方达がいました。197628日の3時42分までは…。
地震発生直後、屋内に閉じ込められた子供たちを救おうと飛び込んだ夫方大強は一瞬のうちに崩れ落ちる瓦礫に襲われて亡くなってしまいました。幼い子供方登方达が瓦礫の下敷きになってしまい、さらに余震の続く救援現場で重機や器具もなく、母親の李元妮はそのうちの片方しか助けられないと告げられ、やむなく究極の選択…。「弟の方达を助けてくれ」と叫ぶ。方达は助かったものの、片腕を失いました。
一方、死んだと思われていた姉の方登は、夜半の雨に打たれ、死体置き場で息を吹き返します。でも、母親たちはすでに避難してしまった後…。被災孤児となった方登は、運救援活動に参加していた解放軍の夫婦に引き取られ養女になりました。
いつも「お姉ちゃんだから我慢しなさい」といわれ続け、弟に譲らされていた彼女。いざという時さえ弟が選ばれ自分が選ばれなかったことに、彼女は深く心を傷つけられていました。
その後、さまざまな運命を経て、32年後、救援に駆けつけた四川大地震の現場で、姉弟が再会。そして、ようやく母親との心のしこりが解けていく…。

確かに、涙、涙のストーリーです。
郷愁を誘う温かなセピア調の映像が、災害をテーマにした映画でありながら清涼感を伴うのは、監督の風格でしょうか。

監督:

主演:

    
冯小刚

徐帆
张静初
李晨
陈道明
陈瑾 etc.