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海角七號 (Cape No.7) 
★★★★☆


海角七号(かいかくななごう)は、2008年8月に公開された范逸臣と田中千絵主演の台湾映画で、台湾では興行収入5億台湾ドル、「タイタニック」に次ぐ史上2位の大ヒットとなった作品です。冒頭、日本語の流れるような美しくも切ない手紙のナレーションから始まり、全編を通して中国語、日本語、台湾語、英語が入り混じるのところからは、台湾が置かれた複雑な状況も垣間見えます。

ストーリーは
日本の植民地時代1940年代に台湾最南端の町、恒春に派遣された日本人教師(中孝介)が、第二次大戦の日本の敗戦により日本に帰国するところから始まります。実は彼には教え子の現地の恋人、日本名小島友子(日本の植民地政策で日本名をつけられた)がいて駆け落ちをする約束をしていたのですが、直前に彼女を「置き去り」にすることを選択せざるを得ない。そして、後悔と惜別の情から帰国の船上で7通の恋文を書く…。
それから60年後の現在、台北で歌手になる夢に破れた一人の青年(范逸臣)が故郷、恒春に戻り、郵便配達のアルバイトを始めます。その彼がある日偶然見つけた「宛先不明」の7通の恋文…。その宛先が「高雄州恒春郡海角七號」、植民地時代の住所でした。そして再び60年止まっていた時が紡ぎ始めるのです…。

映画公開当初、「日本の植民地時代を懐古するものでは」と判断され、大陸では公開されないだろうと憶測されていました。しかしこのほど「恋愛映画」としてバレンタインデーの2月14日から、中国本土でも上映されることが正式に発表されたようです。

監督、魏德聖 にも注目 今回が彼の長編第一作です。若く、繊細かつソフトな外見からは測り知れない、竹のような「しなやかさ」と一種の「図太さ」を兼ね備えたアジア映画界屈指の逸材かも。今作品が大ヒットされながらも一部からは「日本の植民地時代を容認、美化するものではないか」との批判を受けましたがが、彼はTVのインタビューにこう答えています。
「描きたかったのは“一つの時代の结束(終わり)”。台湾は確かに複雑な対日感情を内包している。でも、人間は永遠のものでもなく、いつかは終焉を迎える。同じようにモノゴトには何だって结束がある。その時には我々の心の中で“化解(融解)”することが必要だ。我々の間に存在するのは“仇恨”ばかりではない、“愛情”や“友情”ばかりでもない。これらを相反し総括することで“化解”できるとの思いから、この映画を撮った。」

さらに、こんな含蓄のある言葉も口にされていました。
「人生短短就这几十年, 来也这样子去也那样子, 然后为什么要那么早放弃,很多人努力了十年, 不行。我要对家庭负责, 我要对谁负责…。那为什么不对自己负责一下呢? 上帝给你生命是让你活十年而已吗? 给你一百年时间, 你为什么不好好的运用一百年时间去做你该做做你能力所及的事情。」
(人の命なんて、どうこうしても高々数十年。それなら、そんな簡単に自分の夢を投げ出せないはずだ。十年努力しただけで、芽が出ないと諦める奴がいる。「家庭に責任があるから」とか「誰それのために」とか言い訳するが、なら、自分のために責任はないのだろうか? 天から授かった命はたった十年ぽっちじゃない。百年の生命を与えられているなら、なぜそれを精一杯使って、自分の出来ること、やらねばならぬことをやらないのだろう。)
監督:
脚本:

主演;
    
魏德聖
魏德聖

范逸臣
田中千絵
中孝介 etc.