幕末・明治維新略史

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J.ベンサム『道徳および立法の諸原理序説』1789中央公論世界の名著 山下重一訳



 自然は、人類を苦痛と快楽という、2つの主権者の支配の下においてきた。 我々が何をしなければならないか、何をするであろうかを決定するのは苦痛と快楽である。 そこで功利(性の)原理または最大幸福の原理とは、 「その利益が問題となっている総ての人々の最大幸福を、人間の行為の、即ち、あらゆる状況のもとにおける人間の行為と、特殊な場合には、権力を行使する一人または1組の官吏の行為の唯一の正しく適切で普遍的に望ましい目的である、と主張する原理である。」 功利性とは、ある対象の性質であり、当事者に利益、便益、快楽、善、幸福を生みだし、または危害、苦痛、害悪、不幸が起こることを防止する傾向を持つものを意味する。当事者が社会全体なら社会の幸福、特定の個人ならその個人の幸福のことである。

 社会の利益とは、社会を構成している個々の成員の利益の総計にほかならない。 また、個人の利益とは、個人の快楽の総計を増大させる傾向をもつ場合、またはその個人の苦痛の総計を減少させる傾向を持つ場合に、その個人の利益を促進する。 政策にも功利性の原理は当てはまる。 功利性の原理に適合する行為は正しい行為である、または少なくとも悪い行為ではない。 最大多数の最大幸福とはプリーストリーの「政府論随想」 からの引用である (pp.81-86)

様々な快楽と苦痛の価値の大きさの計算が出来る。(pp.113-)

 政府の仕事は刑罰と報償によって社会の幸福を促進することである (p.148)

快楽はそれ自体として善である。 苦痛はそれ自体として悪である。(pp.176-)