【泌尿器疾患とは】
尿道、膀胱、尿管、腎臓の病気を言います。
犬も猫も人間も、同じように泌尿器疾患になりますが
犬、猫、人間の大きな違いは体内代謝にあります。
「猫のフードを犬に与えても 犬のフードを猫に与えてはいけない」と
よく言われるのは そのためですね。
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犬 |
猫 |
人間 |
特徴 |
カロチンを
ビタミンAに
転換できる
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ビタミンA
ビタミンE
タウリンを体内で
合成できない
肉食動物 |
汗をかいて
余分な塩分を
排出する |
泌尿器疾患の中で最もかかりやすいと言われる膀胱炎は
【原因】
肛門周囲や尿道に生息している大腸菌と抵抗力の低下や冷え、
長時間の排尿我慢、ストレスや結石等(犬猫、人間共通)
【症状】
排尿痛、残尿感、頻尿、血尿、(犬猫、人間共通)
【検査】
尿検査で赤血球、白血球、細菌(犬猫、人間共通)
*犬猫の尿採取を動物病院で行う場合
導尿(どうにょう)といって
カテーテル(管)を膀胱に入れて尿を採取する方法は
犬猫にとって非常に負担になります。
膀胱炎にこの方法は必要ではなく、尿結石の場合に用いられる方法です。
尿が出ているということは閉塞していない 結石がない証拠でもありますから
尿採取は出来る限り 自宅でチャレンジしてください。
*但し、膀胱には様々な菌があるためにより正確な検査を必要とする場合は
カテーテルで採取する。
【家庭での治療】
水を沢山飲んで尿量を増やし、細菌を流す。(犬猫、人間共通)
暖める。
【病院での治療】
尿検査によって有効な抗生物質や抗菌剤を内服(犬猫、人間共通)
結石はその出来る場所によって
・上部尿路結石(腎臓、腎盂、尿管)と
・下部尿路結石(膀胱、尿道)といいます。
・結石の種類はそのほとんど(8割から9割)が
ショウ酸カルシウムとリン酸アンモニウムマグネシウムと言われています。
・犬猫の結石でよく使う【ストルバイト】という言葉はリン酸アンモニウムマグネシウムのことです。
その違いを理解するためには このように覚えてください。↓
* アルカリ性でできる石(ストルバイト)と
酸性でできる石(ショウ酸カルシウム)の判断を誤ると
逆に結石をどんどん作ることになるので注意が必要です。
*犬猫の場合 |
ストルバイトにかかりやすいのは若い時で
年老いてくるとショウ酸カルシウム結石にかかりやすい。 |
【原因】
本も何冊か購入して熟読し実際に泌尿器のお医者さんにも話しを伺いましたが
多くの説が出ている割には、未だに原因は不明だそうです。
【症状】
結石の出来る位置によって痛みも変わってきます。
痛みの程度は激しい痛みから軽度の鈍痛まで様々で、
七転八倒してしまうほどの激しい痛みから人間なら救急車のお世話になる人もいます。
血尿、腹痛(わき腹)、背部痛、嘔吐、排尿痛、残尿感
*放散する痛みのため消化器系の病気と区別しにくいこともあるので
上記のような症状がある場合 結石も視野に入れた検査をしていただくことをオススメします。
*犬猫の場合 |
尿量の少なさと血尿で気が付きます。
膀胱炎と似た症状ですが 結石は最初から血尿です。
尿色を確認し
腰などに痛みあるような背中を丸める様子があれば急いで動物病院へ。
また石が詰まって排尿ができない場合や排尿量が少なくなると
数時間で急性腎不全から尿毒症になりますから大至急動物病院に行ってください。
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【検査】
・尿検査
(尿検査を参照)
・血液化学検査
・レントゲン
・造影検査
【病院での治療】
犬猫 |
人間 |
・抗生物質の投与
・結石溶解療法食での溶解
・切開で取り出す |
・薬物溶解療法
・体外衝撃波結石破砕術
(5ミリ以上の石の場合)
・内視鏡治療
・開腹手術 |
*犬猫の場合 |
人間のように体外衝撃波結石破砕術をされません。
ほとんどが尿道にチューブを入れて水を注入し
その水圧によって石を膀胱内へ押し戻し切開で石を取り出します。
犬猫の尿道へカテーテルを入れることは それだけで大きな負担になります。
尿道の手術をした場合は、尿道が極めて細いので縫合の問題があります。
(縫合をすれば閉塞の可能性があり自然治癒させる場合がある)
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【ストルバイトについて】 |
ストルバイトは別名「感染性結石」とも言われます。
尿素分解菌の感染が原因で
尿素分解酵素が尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し
このアンモニアによって尿がアルカリ性になります。
アルカリ性だと溶けにくい、リン酸、マグネシウム、アンモニウムが
結晶化しやすくなります。
一度結石が出来ると細菌を増やし
細菌が結石を成長させるという悪循環になります。
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予防は基本的に犬猫人間共通して『水を飲め』『運動しろ』なんですが・・
すこし食事についてお話します。
結石は再発しやすいため犬猫なら専用の療法食がありますので
それを食べ続けるのがベストだと言われています。
特にマグネシウムの多い魚系のものを食べさせるのは避けた方がいいと思います。
現在では直接獣医さんから購入しなくてもネットで療法食が手に入ります。
そこでフード選びのポイントです。
【フードの種類とその違いを知る】 |
ストルバイト尿石の溶解
尿石および結晶の溶解に役立ちます。 |
ストルバイト尿石の管理
再発防止に役立ちます。 |
ストルバイトの管理
結晶尿および尿石症のリスクのある猫の健康的な体調維持に役立ちます。 |
シュウ酸カルシウム、尿酸塩およびシスチンの尿石症
尿石形成成分の尿中濃度が低下します。 |
猫は極端に水分摂取量が少なく、人でも犬でも水分摂取量の不足が
結石のリスクを上げてしまいます。
人間は摂取量を工夫して調節できますが
動物は最悪点滴か無理やり飲ませる以外に方法がありません。
そこで結石用療法食は『ナトリウム』を増やし 身体が水を欲するように作られています。
ここで冒頭の犬猫と人の違いを思い出してください。
人は汗をかいて塩分を調節できるが犬猫はできません。
人にとっては少量の塩分が犬猫には過剰摂取になります。
そのため『ナトリウム』の過剰摂取は大きなリスクを伴いますから
療法食には『獣医師の指示に従い』などの文言が付けられています。
また、ストルバイト予防療法食に記されている「低マグネシウム」「マグネシウム制限」ですが
ストルバイトでは悪役のマグネシウムは
ショウ酸と結びついてショウ酸マグネシウムとなり
ショウ酸が減少してショウ酸カルシウム結石の予防になります。
結石用フードを食べていても違う結石になる場合がありますから
結石の種類と違いをもう一度理解確認してください。
家庭での治療と予防、人間編(ショウ酸カルシウム結石の場合) |
○水分は成人1日1・5リットル〜2リットルを摂取
(但し、1時間にコップ1杯をゆっくり)
○過剰な水分摂取は循環器に負担をかける
○水はミネラル豊富な硬水か深層水、またはアルカリイオン水
○お茶なら麦茶、ハトムギ茶、玄米茶、ハブ茶
○結石に薬効のあるお茶は下記参照
○ショウ酸を多く含む食品を覚えておく
(ほうれん草、ゴボウ、オクラ、ピーナツ、ココアパウダー、胡椒、小麦麦芽、紅茶、緑茶、青汁etc)
○ショウ酸を含む食品は避けるよりカルシウムと一緒に摂る。
○アルカリ性食品を意識する
(梅干、海藻類、かんきつ類、キノコ類etc)
○アルカリ性食品を積極的にとって、クエン酸量を増やす
○クエン酸は結石形成の抑制物質である。
○動物性たんぱく質(肉、魚)は酸性食品で、尿中のクエン酸を減らしてしまうため控えめにする。
○動物性たんぱく質は、野菜、海藻、かんきつ類、キノコ類を同時に摂る。
○エイコサペンタン酸の青身魚を摂る。
○油もの、揚げ物は控える
○消化、吸収の早い食品は尿にカルシウムが増えるので、
炭水化物(でんぷん)で消化、吸収に時間をかける。
○夕食は軽めに摂り食後2時間以上は起きておく
○
夫の尿結石に処方された薬 |
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★ウロカルン錠225についてサプリメント、漢方、民間薬でお話しますから覚えておいてください。
★その他、ロワチン、ウラリット
漢方、民間薬
●ウラジロガシ(裏白樫)
古くから尿路結石の民間薬として使用され
葉の主な成分はフラボン・タンニン性物質・脂肪酸・トリテルペンで
タンニンのカテコナール・タンニンは、カルシウムをよく溶かす。
尿路結石、胆石、腎石の治療と予防用によいとされ、
上記に書いた夫の結石に処方された薬ウロカルン錠225は
ウラジロガシのエキスを製剤化した尿路結石治療剤。
日本新薬ニュース
お茶やサプリで多数発売されており
お茶として飲む場合は
金銭草または連銭草と合わせるとさらに効果があがるといわれている。
○金銭草(きんせんそう)または連銭草(れんせんそう)
名前が違うだけでどちらも同じもの。
尿路系の炎症や結石、膀胱炎や尿路感染症に伴う、排尿痛や排尿困難の場合に使う。
結石を砂状に粉砕して排出する作用と利尿作用があり、
排尿痛や排尿困難の傾向がある方は、予防も兼ねお茶代わりに服用するとよい。 |
○金銭草(きんせんそう)または連銭草(れんせんそう)
名前が違うだけでどちらも同じもの。
尿路系の炎症や結石、膀胱炎や尿路感染症に伴う、排尿痛や排尿困難の場合に使う。
結石を砂状に粉砕して排出する作用と利尿作用があり、
排尿痛や排尿困難の傾向がある方は、予防も兼ねお茶代わりに服用するとよい。 |
○五淋散(ごりんさん)
利尿/抗菌/抗炎症作用
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○猪苓湯(ちょれいとう)
利尿効果が強く、尿が出難いなどの症状に効果がある。
尿量が減少し、尿がでにくく、排尿痛あるいは 残尿感があるもの
*冷えからくる膀胱炎にはあまり効果がない。
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○キササゲ
利尿作用
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○当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
虚弱で膀胱炎を繰り返しているような場合によい
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○ヨモギ
利尿作用
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○八味丸(はちみがん)
排尿困難、頻尿
*胃腸が弱く、下痢しやすい場合は使用してはいけない。
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その他
○熊笹(くまざさ)
○クコの実 |
尿疾患用サプリメント
○クランベリー
アメリカでは昔から民間療法として膀胱炎をはじめとする尿のトラブルに利用されている。
但し、尿を酸性に傾ける可能性が高いので結石(ショウ酸)には逆効果です。
○ぺポカボチャ(西洋カボチャの一種)
海外では医薬品として使用されている。
近年の研究成果で排尿を改善する作用が認めらている。
前立腺肥大だけに限らず今では女性に多い尿漏れ(尿失禁)
などにもとても有効とされ、弱った尿道括約筋の働きを高めて
膀胱の過剰な反応を抑えて改善する。
○パンプキンシード
カボチャ種子エキスに大豆の胚芽から抽出したイソフラボンを配合した栄養補助食品です。
○ノコギリヤシ
海外では医薬品として使用されている。
男性なら前立腺肥大の原因となる物質の生成を抑え、女性は尿道を締める筋力を正常化する
*サプリメント&漢方を犬猫にお使いになる場合は、獣医さんの意見を聞いてください。
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