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老犬の異常行動


私の犬は17才前に亡くなりましたが、
私はペコが痴呆症(認知症)だとは最後まで思えませんでした。
そんな私が痴呆について書いても、なんの説得力もないのですが・・ 
ただ老化がもたらす異常行動(変化)については語ることができると思うので 
そのお話をしたいと思います。


そしてこれは全ての異常行動、問題行動と言われるものの原点ですが、
まずそれが『病気』によるものかどうかを飼い主さんと信頼のできる獣医さんで判断し 
そして一緒に対策を立てていかれた方がいいと思います。


老犬おもに10才が近くなってくると次のような問題が多くなるようです。

○排泄

○分離不安

○恐怖心


そして13才〜あたりから痴呆(認知症)といわれる次のような行動がではじめることがあります。

○抑揚のない鳴き声や夜鳴き

○昼夜逆転生活

○狭いところに入りたがり、バックができない。

○食欲が異常に増す

○視力、聴力が消失し臭覚のみが過敏になる

○グルグルと歩きたがる

○尾と頭部が下がり、持続的に起立する

○異常な姿勢で寝る

○他人や飼い主、他の動物にも反応しない

○学習した行動をすべて消失している




排泄の問題

これは叱っても仕方のないことですから、
双方のためにオムツに切り替えるか
寝床の近くか犬のいる場所にシーツを敷いて対応するしかないと思います。
排泄の後は早めに片付けないと他の病気の原因になります。
意外にも単純な『冷え』が原因の場合もありますので
犬のいる場所の温度管理には注意し、冬には服を着せてあげるのもいいと思います。


分離不安

私の犬の場合ですが7才頃に引越しをしたために、
それまで問題にならなかった『留守番』ができなくなってしまいました。
どこに出掛けるにも連れて行くことになりましたが、
10才の頃 散歩でみつけた子猫が救世主になりました。
自分以外の存在が不安を取り除いたようです。
この猫が来たことで留守番の問題が解消されました。



恐怖心

老化が進むと耳が遠くなるというのはよく知られていることですが、
遠くなると今まで恐怖に感じていた音(雷や花火等)が
聴こえなくなって都合のいいこともあります。
ただし、そうなる段階で違う音に過剰反応することもあります。
我が家の場合 自転車のチリンチリンの音や 人間の咳には驚くようになりました。


目や耳は突然悪くなっているわけではないので、
慣れた場所での生活には それほど大きな支障はないかもしれませんが、
例えば散歩に出掛けて遠くから自転車が来るとします。
私達にはそれが見えますし音がするかもしれません。
でも見えない聞こえない時に目の前を大きな風が急に通り抜けたらビックリしますよね。
ところが優しい手で『これから何かが通るよ』と教えていけば それは伝わると思います。
なるべく早めの飼い主さんの対応で恐怖心は取り除けますね。



鳴き声

痴呆による夜鳴きは超高齢犬(15才以上)と暮らす方の大きな悩みの種となっていることでしょう。
老犬の脳細胞は18才あたりで死滅するという話を読んだことがあります。
それを考えると15才を過ぎた犬に痴呆症状が起こることは不思議ではありませんね。


夜鳴きは野生に返るためとか要求のため不安のため等の理由が挙げられていますが
どれも実際にはまだよくわからないようです。


血液の流れをよくする不飽和脂肪酸を与える、
抱いて安心させる、
睡眠薬を与える、
アロマ、
不安を取り除くフェロモン等の方法が現在とられているようですが 
どれも効果は薄いようです。

特に睡眠薬などは老犬には危険で強いものは与えることはできないでしょう。


ご近所への気遣いから飼い主さんが精神的に疲れてしまう場合は
獣医さんに何泊かさせていただく方法をとられる飼い主さんもいらっしゃるようです。


脳や心臓の代謝を活発にする
DHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)などの錠剤
これは痴呆症状などの犬・猫に 獣医さんも使用しています。
商品名は『メイペット』です。


このDHA・EPAは不飽和脂肪酸と言います。


睡眠サイクルの正常化を助けるという『メラトニン』
サプリメントを使用していらっしゃる老犬飼い主様もいらっしゃいます。
これを勧めている獣医さんもいらっしゃいます。

このサプリメントはネットで購入できます。


犬の孤独不安症の治療薬として
ノバルティス・アニマル・へルス社の『クロミカル錠』と呼ばれる錠剤で、
人間用の抗うつ剤から開発されたものがあります。

クロミカルム錠は、犬の分離不安症の治療の補助薬として
認可されている唯一の動物用医薬品です。
クロミカルム錠は精神安定剤や鎮静剤とは異なり、犬の個性や記憶に影響を与えません

下記アニプリルが上記クロミカル錠

『認識障害から方向感覚を喪失したり、行動力の減退や睡眠障害、排せつ異常などを招く。
この治療薬にはファイザー・アニマル・へルス社の
『アニプリル』という錠剤が認可された』という新聞記事が過去にありましたが
日本では まだ発売されていないようです。


不安解消のサプリメントに『メロードック』という商品があります。
漢方医、獣医、愛犬家が集まり、2年かけて作り上げた、
安全、効果的でペットが喜ぶ100%天然のレメディーだと商品説明にはあります。


『アリセプト』、『エリミン』という薬を処方していらっしゃる獣医さんもいらっしゃいるようです。
これはどちらも個人輸入などで入手できますが
副作用の問題などがあるので獣医さんの指示に従った方がいいと思います。



漢方薬『人参養栄湯』(にんじんえいようとう)
17歳の痴呆の犬に与えたら、改善したとの話がありました。

西荻動物病院にて人参養栄湯エキス製剤1.5gを1日2回朝晩投与したところ
投与開始後50日頃から、夜中の徘徊行動、夜鳴き行動が少なくなり、
食事行動も改善し始めた。
60日以降になると呼びかけにも応答するようになり、食事も1日2回で満足し、
また散歩を要求するなど生活のリズムも安定してQOLの明らかな改善が示された

上記は第36回獣医東洋医学会にて
下記 ペット漢方相談室の小松先生が発表されたものです。
ペットの漢方相談室

人参養栄湯には副作用と禁忌があります。
嘔吐や下痢がある場合や 他の薬との併用は危険ですから
ご使用になる時は 出来るだけ漢方獣医または かかりつけの獣医にご相談ください。


★『クルクミン』
クルクミンが、アルツハイマー病の原因となる物質の生成を防ぐことが、
金沢大大学院の山田正仁教授らの研究でわかったと
日本痴呆学会で2006年9月30日発表されました。


自己判断で・・

Pet Health(ペットヘルス) ARA+DHA
10歳を超えた犬の脳の健康維持に。

パンフェノン


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サウスアフリカンティーについて(Sceletium tortuosum)


栄養補助食品について』で話をしたサウスアフリカン茶について追記しておきます。

サウスアフリカンティーに含まれるメッセンブリンという成分は催眠作用があります。
またその他に抗不安、鎮痛などの効果もあるようです。


これは昼夜逆転生活で夜鳴きのある老犬を鎮めるもので、
痴呆の回復に効果のあるものではありません。


サウスアフリカンティーとして手にいれることは難しいですが、種子からの栽培は可能です。
植物栽培の経験を持つ人なら難しくはないそうですが
成長の遅い植物ですから時間と労力がかかります。

そこですでに商品となったSceletium tortuosumの乾燥粉末があります。
ですがこれは【合法ドラッグ】です。

合法ドラッグとは
違法ではないが麻薬と同様の効果を持つ薬物のことで
脱法ドラッグとも呼ばれています。

副作用がないと言われるサウスアフリカンティーが
入手困難なのはそのためかもしれないと思えます。

例え粉末を手に入れたとしても、
出来るだけ獣医に相談した上でお使いになられますことをおすすめします。   
2006年追記


ネットでサウスアフリカンティーを検索されればわかると思いますが、
2006年9月の日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)年次大会の中で
動物エムイーリサーチセンター 内野富弥先生のお話として
『サウスアフリカンティー(サウスアフリカ茶)今年度末発売される』
というお話がありましたが、内野先生の病院に問い合わせをしたところ
2007年2月現在未だ発売はされていません。
今後の発売も未定であるとのことです。

更に発売になったとしても、獣医を通してしか手に入れる方法はないとのことですから、
もし発売されたら かかりつけの獣医に相談しその後、
内野先生の病院に連絡をしてもらって手に入れる方法以外ありません。
個人では手に入れられませんのでご注意ください。
(2007年2月追記)


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