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SONY MDR-CD900ST 低音増強改造


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 DTM(DAW)ユーザを始め、スタジオミュージシャン、TVの音楽番組でも欠かせない定番モニターヘッドホン、SONY MDR-CD900ST。我が家でも2012年から活躍している。


 音は悪くないが、中高音が強調されているので長時間使用は疲れるし、なんせ耳が蒸れてしまうので、普段は、ステージモニターイヤホン、SONY MDR-EX800STを愛用している。


 本来の使用用途が違うことはさておき、やはりEX800に比べると、CD900は低音が物足りない。今回、色々ググって、色々挑戦してみた。



1.イヤーパッドの交換


 島村楽器さんのブログで、「付属のものよりふかふかで、厚めですので耳にフィットして、高音はまろやかになって、低音が強化されるとの事です。」というコメントを見て、早速YAXY製のイヤーパッドを購入してみた。


 CD900のイヤーパッドを外してみる。ウレタンリングが少しくたびれてる。




 左右の区別が付きやすくなって、見た目は良くなった。肝心のサウンドは、確かに低音は豊かになったが、中高域がぐっと減り、これではモニターヘッドホンとしての本来の役目を果たさない。(;_;) ウルウル

 発注した後に、Facebookの「DTMラボ 〜音楽制作〜」グループ(非公開グループ)で、YAXIイヤパッドでSONY MDR-CD900STモディファイ!つけ心地は改善するのか?【動チェク!】というYouTube動画を教えてもらった。

 CD900のモニターヘッドホンとしての中高域の情報量の多さは、スピーカーと耳の距離に秘密があり、イヤーパッドは厚みを変えるのはご法度という結論だった。CD900はリスニングに向かないと良く言われる(モニターヘッドホンだから当たり前)が、リスニング用にはこのイヤーパッドは最適。でも、CD900をリスニング用に使う人って、いるのだろうか?

 このイヤーパッドは、不採用。(^_^;




2.リケーブル&くるっとチューニング


 色々調べているうちに、リケーブリングに興味を持った。アンブレラカンパニーのサイトに「4芯ケーブルを用意しプラグからドライバーユニットまでの配線を独立させます。これであれば共通インピーダンスはプラグだけになりますので条件は大きく改善されます。」と書いてあったので、「QUATTRO 900」を2m分、購入した。


 追加で、先日くたびれているのが発覚したウレタンリングと同様に劣化するミクロングラス、金メッキステレオプラグをサウンドハウスさんで注文。 プラグはアンブレラカンパニーでも採用している「NEUTRIK / NP3X-B」にしたかったが、在庫がなかったので適当に選んだ。




 材料が揃い、作業時間を3時間程確保できたので、作業開始。


 ちなみに、ケーブルにはしっかりと「QUATTRO 900 quadcore cable」の文字がある。



 CD900のイヤーパッドを外し、前板にある4箇所のネジを外す。


 思ったとおり、ミクロングラスも結構くたびれている。ハンダ吸い取り線を使って、一旦ハンダを除去したいのだが、なかなか進まない。どうやら、鉛フリーハンダが使われているようで、ハンダゴテの温度調整を高めにしないとダメみたいだ。(私が使っているハンダゴテには、自動温度調整機能がついている。)
 さら、コテ先がドライバーユニットの磁石に引き寄せられるので、すごくやりにくい。




 ハンダを除去し、パターンをカッターで一部カットし、低音増強のため、ドライバーユニットの取付角度をくるっと90度回転させた。これが、くるっとチューニングである。(全部、アンブレラカンパニーさんの受け売りだけど...)


 まず、送りケーブルと4芯ケーブルの2本をハンダ付け。取り出したミクロングラスを新品と比べると、高さが倍ぐらい違う。



 上の写真とは向きが180度違うけれど、「QUATTRO 900」の4芯をドライバーユニットにハンダ付け。

 プラグ側も、ハンダ付けが完了(プラグのカバーを先にケーブルに通しておくことを忘れないように)。テスターで通電とショートがないことを確認。これでハンダゴテの出番終了。本当は、4端子プラグに変えてバランス駆動するのがベターだろうけど、そんな高級なヘッドホンアンプ持ってないし、そこまで投資する気になかったので、これで良しとする。



 新しいミクロングラスを入れて、前板をネジ止め。同様に右側のヘッドホンユニットもミクロングラスを交換。(写真は撮り忘れ)



 ドライバーユニットにウレタンリングを貼り付け。(これじゃ、ただのウレタン)


 くり抜かれた真ん中の部分を剥がして、ウレタンリングの完成。ウレタンの真ん中にも接着シール貼られているので、しっかり貼ると、剥がすのに苦労する。

 イヤーパッドを取り付けて、視聴。うーみゅ、ちょっと聞いただけでは、低音増強状況はよくわからんなぁ。(^_^;



3.ぷすっと改造


 アンブレラカンパニーさんの情報によると、いつの間にかCD900はマイナーチェンジされていて、エア抜きポートの形状が変更され、フェルトを固定する接着剤か量が変わったのか、通気性が悪くなっているそうだ。

 そこで、縫い針でエア抜きポートに「ぷすっと改造」を実施。最終的には、15ヶ所程度ぷすっとした。

 視聴すると、あら不思議。めっちゃ低音が出るようになった。この改造の威力は抜群なのだが、やりすぎると後戻りできないので注意。



 今回はアンブレラカンパニーさんの情報に頼るところが大きかったので、ケーブルに添付されていたシールをヘッドホンに貼り付けてみた。

 個人的には、「ぷすっと改造」が一番効果があったように感じたが、リケーブル&くるっとチューニングもされたものを手に入れたい人は、アンブレラカンパニーさんの通販サイトから\22,000(税別、Perfect Symmetry Modバージョンは\25.500)で購入するのもありでしょう。普通に買えば\13,700で、今回の改造も4芯ケーブルとプラグだけなら\2,000程度ですけど。(^_^;

 ということで、「SONY MDR-CD900STの低音増強改造」は、数千円の出費と3時間程度の工作時間で、見事に成功したのでした。(^.^)v




4.プラグ変更


 前回のリケーブルの際には、プラグ「NEUTRIK / NP3X-B」が入手できなかったので、適当なステレオプラグを使ったので、左右のコールド側をひとまとめにしてハンダ付けせざるを得なかった。


 今回はプラグ「NEUTRIK / NP3X-B」を使用して、アンブレラカンパニーさん方式のセパレート配線をやり直した。

 ケーブルは適当に切ったので、コールド側が少し長かった。(^_^; スリーブが大きいので、左右のコールドを一箇所でハンダ付けせず、別々にハンダ付け。これでコールドが独立して、共通インピーダンスはプラグだけになる。



 シールドはスリープにハンダ付けせず、プラスティックパーツの穴から出して、適当な長さでカット。

ハウジングを組み立てれば、スループと圧着される。これで、コールド3つが独立配線で、プラグ内のスループのみで接続される。


 プラグのハウジングが大きいので、配線作業はすごく楽チン。プラグ全体の長さが、以前と全然違う。

 早速試聴してみると、低音が前に出て、全体の定位もクリアになった感じ。この究極のモニターヘッドホンを活用して、また曲をいっぱい作るぞ。(^.^)v (って結局、MDR-M1STを追加購入したのだが。(^_^; )






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