以前のK地区では、安全管理に関して 電子掲示板上でも いろいろな議論がありました。
 例えば、「構内メイン通路の速度制限30km/時を 他の構内通路と同じ15Kmにすべきではないか」との意見対して、公開での議論の後、30kmのままとの判断を 安全課が示していました。
 また、ドアを開ける際に起きたドアとの衝突事故では、「安価になったカメラ・モニター設置で ドアの向こうが見えるように」との意見も出されたのですが、「過剰すぎるのでは」「そのドアだけの対策ではない」ということで、“ドアの向こうに人がいる”という注意喚起のラベルを 要注意と思われるドアの押す側面に貼ることで 対処がなされました。


 総括安全管理者が直接的に形骸化したルールに気づいて、改善を求めたこともありました。
 例えば、朝の通勤時に車が 常にメイン通路から 回り込んだところにある受付(外来者用駐車場付近)を通って 駐車場に行くことになっていたのですが、実際には 受付で何のチェックもされておらず、通勤の車は ただ そこを素通りするだけでした。わざわざ 建屋の間の 歩道の無い 歩行者の多い通路を通って 駐車時に 向かっていたわけです。
 それで 見直しが提案され、メイン通路から 直接 駐車場に行くように ルールが改定されました。


 それ以外にも、毎月の放水訓練が過剰ではないかと 回数が減らされたこともありました。
 逆に 大震災想定の避難訓練では、本番さながらの訓練が必要ではないかということで、対策本部設置時に すべての機材を倉庫から出して 訓練が行われるようになりました。
 これは結構大変で、実際に消防に通報したり、人員点呼を行ったり、被害の状況を掲示板に貼りだし、まとめた情報を対策本部長に伝達し、それに応じて消防隊や救助班が出動したりで、スムーズにやり遂げるのは なかなか難しい ということが 実感できました。
 訓練であって 混乱していない状況でさえ そうなのですから、「実際に震災が起こった場合は もっと難しいだろうなあ」、「ちゃんと 準備や心構えをしておかなくてはなあ」と思ったりしていました。


 実際に大震災が起こると、想定外の転倒物や天井からの落下物による被災が懸念されますので、総括安全管理者の安全パトロール時には「今、大地震が起こったらどうする?、どこに逃げる?」と 現場で作業や試験をしている人たちに 直に問いかけをしながら、“まずは身を守れる場所” や “避難経路” を考えさせたりしていました。


 このように 以前のK地区では、安全関連情報の公開公開での議論施策の現実性や軽重バランスの検討形骸化への注意と改善実力・実行力の把握と改善などに 安全課はじめ関係者で 当たり前のように日常的に取り組んで 安全な職場づくりに努めていました。


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