第二章第三章に述べましたK地区における安全管理の形骸化を、安全課長の上司である業務部長と本部長が、また、K地区の安全管理のトップである総括安全管理者(本部長が兼務)が、“徹底的に” と言ってよいほどまでに 放置したのは なぜなのか?
 実は、私の理解の範囲を はるかに越えていて、未だに 理由を 推測すらできていません。


 通常 部下が不安全な行動をしてしまった場合、その部下が なぜ そんなことをしてしまったのか と 根本原因にまで考えを巡らせて 対策をしていきます。
 安全課課長による長年にわたる不適切な安全管理を、例えば 第一章6節 余談 で述べましたマンホール蓋点検時の事例と同様、不安全な行動状態として捉えなおしてみますと、
 行動 :不適切な安全管理(参照:第二章
 状態1:上司や安全推進部が指示することだけやっておけばよいと思っていた
 状態2:形だけ整え、「ちゃんとやっている」と 見えるようにしておけば
     よいと思っていた
 状態3:安全課課長に任じられたが、その任務が嫌で仕方なかった
などが 考えられます。


 不安全な状態が分かったら(想定できたら)、その状態に対して手を打っていくわけですが、不安全な状態1と2を生み出してしまう根っこは 状態3だと思われます。従って、状態3を対策していくことが 必須だと思われます。


 まずは、安全管理の意義を 心から理解してもらうように話し合い(説諭)を行い、その効果がないなら、その任務を解き、本人が力を発揮できる任務に就かせるようにするのが 上位管理職のやるべきこと なのではないでしょうか。


 ところが、上司である業務部長・本部長、さらには、安全委員会・総括安全管理者は、何も手を打たず 6年ちかく放置し続けたわけです。
 つまり、不安全な状態に手を打ち 安全を守っていくための最前線の “安全課が むしろ敵に加担する陣地になっていた上に、後方二つ目・三つ目の “” も “砦” として 機能しない ものになっていたわけです。


 あまりの安全に関する無関心、また、あまりに異常な事態に 理解がとてもできず、安全課課長と業務部長・本部長の間で 何か特別な事情でもあるのだろうか と思ってしまうような状況でした。


 余談:以前の 安全管理に関する意見と応答 や
     現実に即した、また、重要度に応じた対処の事例


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