以上の様々な問題の紹介で、α社は まるで “ブラック” 企業であるかのように 見えるかもしれませんが、そうではありません。むしろ “ホワイト” と言っても よい企業です。
 また、私が人事系の方々から疎まれいたわけでもなく、社内報の仕事紹介欄への執筆を依頼されたり、世の中で活躍している知人を紹介して社内報で夢を語ってもらったり、α社ホームページのリクルート関連ページでは “社員紹介”の一人として 仕事や職場の雰囲気の紹介をしたりしていました。 


 私の“安全管理の正常化”のための活動を 様々な手段で 止めさせようとした人たちも、その多くは “人柄の良い” 方々でした。
 安全管理に関する私の言動に関して ある局面では一部にひどい対応がありましたが、日頃は いじめ的言動があるわけではなく 普通の職場でした。私の“懲戒処分”への道筋をつけた所長も、上司になる前でしたが 私の定年祝いの会に参加してくれていましたし、当日 海外出張中だった本部長はビデオメッセージを送ってくれました。職場では 歓送迎会・暑気払い・忘年会などの宴会も みんなで一緒に 楽しんでいましたし、雇い止めになった後も 元同僚たちと飲み会をしています。


 このように 人の命を軽視するようなことが あるはずがない と思われる普通の会社であっても、ある種の悪い流れができてしまうと その流れに いつのまにか 乗ってしまい、悪魔のサイクルに陥り 抜けられなくなってしまった ということではないでしょうか。


 また、世の中には“ためにする批判”を商売にしている人もいますので、その人たちに対処するため「こんなにちゃんとやっています」という 一定のデモンストレーションは必要となります。
 その デモンストレーションに使うエネルギー は、社内への安全に関するPR活動も含め 多くても全体の 2〜3割程度 であるべきだと思うのですが、α社ではそれが主な活動となって 本末転倒の事態になってしまったのかもしれません。


 α社の方が もし この“事例紹介”を目にされましたら、α社の 後退してしまった“安全”“本来のあるべき姿” に 思いを致していただければと思います。
 “安全”“万全” はありませんし、すべての車道に歩道とガードレールを設置できないように 現実的制約もありますので、「 “安全” は 後退させない」という思いを持って、一歩ずつ 一人一人の力より“安全”な職場 を作っていっていただければ と思います。


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