文  化 東京港区 中国語サークル 北京倶楽部

新結婚時代
★★★★★


中国式離婚」と同じ、中国の人気女流作家、王海鴒原作のTVドラマです。
中国語の会話の勉強には、前作よりさらにお奨めです。前作の姉妹編で、2006年の放映、現在により近くなっています。主人公の小西(xiao xi 台湾の女優、刘若英演じるところの)の設定も、既婚の around 30で大手出版社の編集者と、中国の歴史的諸事情がわからなくてもスムーズにドラマに融け込めそうです。会話も現代の若者っぽく現代的、しかも比較的一言一言が短かいのもありがたい。日常私たちが日本語で言っているようなさりげないことを中国語でしゃべっているので、シャドーイングで台詞を復誦してみてもいいでしょう。

都会育ちの女性と、農村から出て来た男性の結婚から起きる、都市と農村の差がもたらす、さまざまな軋轢を中国社会に横たわるホットな話題として描いているのが興味深いところ。
農村や地方から、多くの若者が大都市に働きに来ている昨今、こうしたカップルの結婚も増えてきているようです。 このドラマは、こういった問題を描いて、都市の若者から圧倒的な支持を得ました。 


ストーリーですが、
農村出身の夫(郭晓冬演じてます)と、都市出身でインテリ家庭出身の妻(刘若英が演じてます)を主軸に3組のカップルを追いながら、現代中国の結婚をテーマに取り上げたドラマです。

まず主人公の前述の夫婦は、結婚当初はラブラブ、幸せな家庭を築いたはずでしたが、夫の父親が田舎から出て来たことで、歯車が狂い出します…。次第に喧嘩が絶えなくなり、ついには…。妻役の刘若英は苦労知らずの日本でもよくいそうな働く妻を好演。夫役の郭晓冬は、真面目な石田純一みたい。

2組目は、その妻の弟で建築家のタマゴが、姉の同僚で姉と同い年の、つまり年上で、しかも不倫歴もある女性と恋愛をしてしまいます。彼は本気で結婚を申し込むのですが…。姉をはじめ彼の家族はこぞって大反対です。

3組目は、彼ら兄弟の両親の結婚生活。父親はすでに定年しているとはいえ、元大学教授。母親は現役バリバリの外科医、しかも名医の誉れ高く、執刀依頼が絶えず、家事などやっているヒマがない。

3組の恋愛と結婚が引き起こすいろいろな問題を描き出しています。
結婚という視点から中国を理解するには、「都市と農村」がどうもキーになるようです。

では、どんな違いがあるのでしょう?
このドラマからわかったことですが、都市部は日本とほとんど同。農村部は以下のようにずいぶん異なります。
農村部の特徴
親孝行です。都市部だって、また私たちだって自分の親は大切にしますが、農村は程度がずっと重い。夫が妻のいないところで実の兄にこのようなことを言ってました。「親兄弟が自分の手足のようなもので身体の一部だとしたら、妻は服のようなものだ。イヤなら着替えたらいい」。妻以上に肉親が大事、こんなこと言う夫に、都市出身の妻は「でも結婚したら、二人の生活のほうが大事でしょ」。不満でもあり嫉妬のような気持ちでもあり…。

そしてその親孝行たるや、
経済的親孝行
両親の家を建てる。
生活費をを送る。
両親に代わって、弟・妹の学費を負担する。

その他
にも
親からの頼みごとには、徹底的に応える。たとえば、親戚や村の人間の就職斡旋、医療機関の紹介、交通切符を切られ罰金を払わねばならなくなった時の揉み消し運動etc..

農村では、子供は生産財。つまり、宝を産む財産です。
だから、親は子供に対してこう思います「苦労して育てたんだから、自分達の面倒を見るのが当たり前」。そして子供の方も「苦労して育ててくれたんだから、親に恩返しをしないといけない」。

これに対して、都市部では
子供といったら「育ててくれてありがとう。これからも、何かあったら援助よろしくね
※この辺り、私たちもちょっと耳が痛いですね。
親も「何も恩返しは望まない。幸せになってくればそれでいい」。

そして、かなり男尊女卑
男系継承の意識がかなり残っています。ですから、夫は妻に、あくまで男の子を産むことを要求します。
子供(男の子)が産めない妻は、ハンパ者。時には離婚も起こります。
女の子が生まれても、祖父母はあまり喜びません。

このドラマのような都市出身の男女平等意識を持ったインテリ・キャリアウーマン妻からすると、もう論外です。夫はこうは思っていなくても、彼の両親がこう思っていたら、親思いの夫は、もう板ばさみになって大変
日本にも、似たような問題がないとも言い切れませんが…。だから、このドラマは滑稽でもあり、シリアスでもあり、なかなか為になります。
監督:

出演;
    
白涛

刘若英
郭晓冬
梅婷
吴健 etc.