東京港区 中国語サークル 北京倶楽部

“怎么看怎么别扭”(どう見たって、どうもしっくりこない)



今回の講読は、いま中国の新聞やネットのコラムで人気のアラフォー・コラムニスト王小柔のエッセイ集「妖蛾子」の中の一節「你们全家都是白领(アンタ等みんなホワイトカラーやんけ)」(左下)。

現在の中国では白领(bai ling≒ホワイトカラー)流行のようで、猫も杓子も、スーツに革靴を履いたホワイトカラーやらになりたがっているようです。そんな社会を風刺したエッセーが今日の教材でした。
抜粋して紹介すると、

哪类人算白领我到现在也不清楚。~
他们正像地沟泡水一样咕嘟咕嘟流得哪都是, 你妖不把他们当白领他们就跟你急。
一次旅游, 有个整天穿西服的男人总和我在一张餐桌上吃饭, 他就像整个韭菜地里冒出一畦蒿子一样, 虽然都是绿的, 怎么看怎么别扭。我问他是做什么的, 他夹了口菜说自己是白领。就这样一个西装革履的白领每次去厕所都让别桌的游客误以为是饭馆的, 不是拦住他叫再端一盆稀饭就是让他把空啤酒瓶子撤下去, 搞得他很生气, 吃饭的时候宁愿憋着, 他觉得自尊受了伤害。

(どんな人をホワイトカラーというか、私には今だかつて、よくわからない。(中略) ホワイトカラーたるもの今や下水道汚水のようにドクドクとそこら中に溢れるばかりに流れているのだが、もし、その彼等をホワイトカラー扱いしなかったりしたら、さあ大変、きっと彼等の怒りを買うことになるだろう。
ある旅行でのことだが、丸々一日、スーツを着た男性と偶々同じテーブルで食事をすることになったことがある。この男、まるで一面の韮畑に一畦だけ生え出てしまった蓬みたいで、同じ緑といえば緑なんだけれど、どう見ても何となく違和感がある。そこで「仕事は?」と聞いたところ、その男は料理を一気に口に頬張るや「自分はホワイトカラーだ」と言った。でもその実、こうスーツに革靴姿をしたこのホワイトカラー氏に限って、トイレに立つたびに、他のテーブルの客からホテルの従業員と間違われる。呼び止められて「もう一皿粥を頼むよ!」でなければ、「ビールの空き瓶下げてよ!」と来るわけだから、 彼にしたら腹立たしいことこの上なしだ。仕舞いにはこんな扱いを受けるくらいならと、食事中はトイレをじいっと我慢するようになった。彼の自尊心は随分と傷んだことでしょうね。)


上記の文章から、ワンポイントレッスン。
别扭(bie4 niu3)≒ねじれているひねくれているしっくりこない意見そりが合わない
何て言ってよいかわからない、もやもやした違和感のような感覚を形容する形容詞です。
别扭は、二声ではなく、四声です。
得てして日本人は【奇怪(qi guai ≒おかしい、あやしい、尋常でない】と言ってしまっていることが多いかもしれません。こちらは、何となしにではなく、明らかにおかしい、明らかに変で反感を抱いている場合に使いますので、注意してください。

たとえば、
后妈来后, 我觉得家里有点儿别扭
(継母が来てから、家に違和感を感じるようになった)

我虽然同意他们结婚, 但不知怎么说觉得有点别扭
(彼等の結婚に賛成はしたものの、何て言ってよいかわからないが何となく割り切れない気持ちがしている) きっとこのも彼女に気があったりしたときは、こう别扭ですね。


さて、今日は中国のホワイトカラーが話題になりました。
日本企業が中国へ進出する折りのコンサルティングを業務としている弁護士でもある我等が宋老師ですが、最近の中堅商社上海事務所開設事情について興味深いお話をしてくださいました。

30平方メートルくらいの事務所に、当面5人で運営するそうです。
でも、そうのうちの一人は中国人を雇用することになりました。
英語、日本語はもちろん、資歴(zi li≒キャリア)も充分の34歳の中国人が選ばれました。
さて、彼の給料の相場はいくら

答えは、日本円で月30万円+奨金(いわゆるボーナス)+交通費+住居(上海在住者ではなかったので、社宅が必要だということです)。

中国の人件費も随分高くなったなぁ、とも思いましたが、でも考えてみれば、安いですよね
だって、おそらくこの34歳の中国人は非常に優秀な方です。
この場合、日本人を雇っても中国人を雇っても、賃金は同じでないとおかしいですよね。でも、日本人でこれくらいの実力、キャリアを持った人を雇用して海外に派遣しようとすると、1000万は必要です。まして、駐在手当てや諸々手当てetc. 会社側は各種保険や退職制度などの負担だって負わずに済みます。日本人より優秀な人材が、2分1以下のコストで雇えるわけです。日本人だって、ウカウカしてられません。

でも、人民元換算で月2万3000元、年収300元以上となりますから、ちょっとした富裕層です。
こんなホワイトカラーだったら、確かにホワイトカラーも捨てたモノでもありませんね。