東京港区 中国語サークル 北京倶楽部

介詞“把~”の用法



今日の「作文」は、【“把”を用いた文】でした。
たとえば
哥哥那辆旧车卖了
(兄はあの古いクルマを売った)

もちろん、哥哥卖了那辆旧车
主語(哥哥)+動詞(卖)+その他の成分(この場合、変化を表わす動態助詞の“了”」とも言います。むしろ、これが基本型かもしれません。
この場合の話し手の意識の核は、「兄(哥哥)が売った」という動作にあり、目的語の「何を=クルマ」はその動作に付随する次元にあります。

比べて、上記の介詞~”を用いた表現法は、
主語(哥哥)+ “”+目的語(那辆旧车)+動詞(卖)+その他の成分(了)」の形をとり、
目的語(那辆旧车)を動詞の前に出して、その目的語に対する処置を強調する文型です。

中国語の語順は日本語と異なり、重要度が高い(中国人の感覚ですが)言葉から並べられるようです。
話し手が「目的語(那辆旧车≒あのクルマ)をどうしたか」を強調する気持ちがある場合は、【“把”を用いた文】で、上記のように目的語を動詞の前に持ってくることができます。

これには、以下幾つかのルールがありますので、おさらいしておきましょう。


1)【“把”を用いた文】の否定の言葉や副詞、“”“”“不要”“”は,“~”の前に置きます。
動詞の前には置きません。
たとえば
伞带上。(傘を持って来なかった)
你怎么这个好消息告诉父母呢? (なぜ、この良い知らせを両親に言わないの
(不要)人家拉下水。(人を悪い道に引っ張り込むなよ)

理由は、
先にも述べましたが、中国語では「大切なコトから述べる」のが基本だからだと覚えておくとよいかもしれません。「~したのか否か」「~するのか否か」は主語の次に重要ですからね。
また、“”“”“不要”“”で否定する内容は、“~”以下すべの文に掛かっていますよね。


2)【“把”を用いた文】では、時間に関連する副詞、“已经”“”“”“”“”等は、“~”の前に置きます。たとえば
他们已经活动日程排好了。(彼らは、もう活動スケジュールを立てました)
昨天寄来的包裹取回来了。(私は、送られてきた小包を、昨日にはもう取ってきました。)

※中国語の概念では、時間的要素は重要な情報ととらえられており、つねに述語の前に置かれます。


3)【“把”を用いた文】では、“~”の後ろの動詞は単独では存在せずその他の成分」を加えます。目的語(那辆旧车)を動詞の前に出すことで目的語に対する処置を強調しようとしているからだと考えられます。
単独の動詞だけでは言い尽くせないため、補語重ね型にしたり、「他の成分」である動態助詞“”“”、別の目的語数量詞を加えたりします。
たとえば
那些碟子拿。(食器を持ってきてください)※方向補語ですね。
那些碟子洗得很干净。(彼女は食器をきれいに洗った)※程度補語。
那些衣服洗洗。(その服は私が洗います。)※重ね型。
那些衣服洗一下。(その服は私が洗いましょう。)※数量詞。


4)【“把”を用いた文】では、“”の目的語は話し手や聞き手にとって特定のものでなければなりません。たとえば
那支笔j借给我。(そのペンを貸してください)
借给我一支笔。(ペンを一本貸してください)
※上段は、特定の“そのペン”を貸してほしい、と言っていますが
下段は、どのペンでもいいから、ペンを貸してほしい、と言っています。


作文の練習では、語順、とくに副詞の位置に戸惑いがありました。
各人覚えやすい短文を諳んじておくと、だんだん体得できるようになるでしょう。