東京港区 中国語サークル 北京倶楽部

「闭门羹」って本当に食べられるスープでした!


中国語にはユーモラス? で意味深い表現がたくさんあります。たとえば“吃闭门羹(chi bimengeng )”。指被主人拒之门外或主人不在家(訪問しても家の主に面会を断られたり、あるいは主が不在だったりすることを指します)。日本語にすると、“門前払い”。

吃闭门羹”は次のように使います。
我昨天吃了那家伙儿的闭门羹(昨日あいつに門前払いを食わされたよ)。
あるいは嫌いなボーイフレンドに付き纏われたら、他来了, 给他个闭门羹吃就是了(彼が来たって門前払いしてやるだけよ)。
さらに転じてこんな風にも使えます。
如果你不注意说话的方式,吃闭门羹的时候儿多着呢 (お前、話し方に注意しないと人から敬遠されるぞ)。


でも、闭门羹(bimengeng )って“羹(geng)”って言うからには、トロミのあるスープのことでしょ雪耳羹、水蛇羹、燕窝羹とか今でも中華料理店のメニューに見られますよね。
では、“客の拒絶” と食べ物のスープがどうして関係あるの
そう思っていたら、翌週、林先生がインターネットで以下詳しく調べて来てくれました。

闭门羹の語源は、唐代に編纂された≪雲仙雑記≫という書物の中にありました。
その昔、安徽宣城という町の妓楼に、史鳳(shifeng)という名の見目美しく、琴、棋、書画どれも申し分のない才色兼備の名妓がいたそうです。しかも彼女は客を選ぶ目も確か。地位、人徳に秀でた将来性のある殿方は客にとるが、人品劣る殿方には自らは決して相手にせず後輩の芸妓を侍らせます。そして、相手にしない男に対してこの時、待合い部屋で供されたのが一碗のスープです。
客の方も粋筋をちゃんと心得てますから、このトロミスープが出て来てしまうと「あぁ、俺はふられたんだ」と潔く退散したそうです。
史鳳は聡明な女性です。単刀直入に断らずに、婉曲に遠回しに奥ゆかしく遠慮させていただく…。
彼女のこのスマートな断り方が徐々に世間一般に敷衍して行くことになったようです。現在ではこうは言ってもスープは出て来ませんけどね(笑)。

さらに林先生から面白い情報。
吃闭门羹っていう料理は、今でも安徽省の或る地方では本当にメニューにあるそうですよ。美味しいらしいですけど、私も行ったことないからわからない。皆さん、こちら方面に旅行の予定がおありでしたら、地元で尋ねてみてください。」
「でも、現在のこの料理の方は“あなたは嫌い”とか“お断り”の意味は全然ないですからご安心を