平成18年度市委託テスト 非常用保存食のテスト
非常用保存食 作り方は?味は?
1 テストの目的とアンケート
新潟県中越地震、新潟大停電などで市民の防災への関心は高まったのか、食品類の備蓄はどうか、230人にアンケートを実施した。その結果、災害に備えて品物を準備している人は、約5割、その中で飲食物の準備は約7割(230人の全調査人数での割合は約3割)であった。
飲食物準備の内容は飲料水(83%)が多く、ご飯(29%)パン(24%)麺(31%)はそれぞれ3割前後で、多いとはいえなかった(%は飲食物準備の75人に対して。また複数回答である)非常時に食べたいものは麺、パン、ご飯のどれかをたずねたところ、どの年代もご飯類が多かったが、ご飯物の備蓄が特に多くなかったのは疑問の残る点であった。
非常食の備蓄には値段が高く、販売店が少ない、種類が少ないなどの不満があることもわかった。
これらの結果をもとに、はたして非常用に備蓄する食品の現状はどうなのか、ご飯類を中心にその他の食品も加えてテストしてみることにした。3 テスト方法 期間 平成18年7月〜9月
モニター 消費者協会会員及び市民40人
それぞれにテスト商品12品を試食評価してもらった。4 テスト商品 (購入価格は平成18年7月現在)全て1食分
商品名 製造・販売者名 価格 1 レスキューフーズU型 ホリカフーズ(株) 1,050 2 レスキューフーズV型 ホリカフーズ(株) 840 3 安心米(白飯) アルファ食品(株) 294 4 安心米(五目ご飯) アルファ食品(株) 367 5 白飯(マジックライス) (株)サタケ 298 6 五目ご飯(マジックライス) (株)サタケ 348 7 白飯(アルファ米) 尾西食品(株) 280 8 五目ご飯(アルファ米) 尾西食品(株) 350 9 白粥(アルファ米) 尾西食品(株) 250 10 あんこ餅 社会福祉法人 東京コロニー 420 11 パンの缶詰(マフィンタイプ) (株)トクスイコーポレーション 300 12 カンパン(氷砂糖入り) 三立製菓(株) 207
1レスキューフーズU型
2レスキューフーズV型
3安心米(白飯)○
4安心米(五目ご飯)○
5白飯(マジックライス)○
6五目ご飯
(マジックライス)○
7白飯(アルファ米)○
8五目ご飯
(アルファ米)○
9白粥(アルファ米)○
10あんこ餅
11パンの缶詰
(マフィンタイプ)
12カンパン
(氷砂糖入り)5 テストの結果・テストから見えてきた問題点
@説明書き
図解入り作り方説明は好評。非常時を考慮して文字は大きくハッキリした色で記載を。
A準備と作り方
ライフラインが停止した場合、「レスキューフーズ」U型・V型のように水も電源も無くても温かい食事ができる完結型の非常食を備えておく価値は高い。しかし熱くて取り出しに危険という意見が多く係テストを行った。30分で取り出すとあるが袋内は79度で、50分後に65度に下がった。
米飯類は水又はお湯だけで食べられ評価できる。水とセットで備蓄したい。パッケージが開けにくい、注水線が分かりにくいものもある。缶詰タイプは保存性に優れるが、付属の缶切りの使用に強い力が必要など年齢層によっては使いにくい。
B味
ふつう、おいしいの評価が多い。乾燥米タイプをアルファ化した白飯は普通のご飯とは食味が違うが、味付具入りのものはぼさぼさ感が無く栄養的にも優れ好評。熱湯使用は取り扱いに注意が必要だが、指定より10分ほど長めのほうがよりおいしい。甘みのあるあんこ餅やパンの缶詰なども好評。
C食べやすさ
米飯類の袋は底が広がっていて倒れにくく、扱いやすい。缶詰タイプは切り口で手を傷つけないよう注意が必要。
D価格
米飯類のほとんどは、まあまあの評価。レスキューフーズやあんこ餅、パンの缶詰は高いと感じている人が多い。6 新潟市内の販売状況
デパート、スーパー、ドラッグストア、大型食品店など調査した市内25店舗のうち非常用保存食としての販売は6店舗しかなかった。備蓄が進まない現状の理由の1つに市民が非常用保存食を目にしていない点もあるのではないか。
7 非常食の備蓄を高めるために
<メーカー・販売店へ> 平常時と違う環境であることを考慮した商品を望む。ユニバーサルデザインの視点で誰でも容易に作ることができること、保存期間切れごとに家族分の買い替えが必要で日常でも消費することから、よりおいしさと低価格を望みたい。非常時のゴミ量低減も考慮しなければならない。またデパートや大型店、近所のスーパーやドラッグストアなど、日常の買い物で「非常食」を目にすることで関心も高まるので常時商品の展示をしてほしい。
<市民へ> 災害の状況で食べられるものが変わる。備蓄は3日分必要といわれるうち、最低1日は完結型(上写真の☆印)や水とセットでアルファ米飯(上写真の〇印)を備えたい。特に乳幼児や高齢者など災害弱者は必要品を備蓄したい。保存可能な缶詰やレトルト食品なども、手軽な備蓄食料として併用し備えたい。
<行政へ> 防災訓練時のみならず、より多くの場面で備蓄を高めるために意識啓発し、試食などにより市民への周知を図って欲しい。