多摩市自治基本条例成立とその前史
後編(本格化する議論)
目次
前編(自治基本条例の前史)
1、平成10年第1回本会議 臼井市長 施政方針と 松島議員質問
2、平成11年第1回本会議 臼井市長 施政方針と 松島議員質問
3、平成11年第2回本会議 松島議員 一般質問と 鈴木市長答弁
4、平成12年第1回本会議 鈴木市長 施政方針と 松島議員質問
後編(本格化する議論)
5、平成13年第1回本会議 鈴木市長 施政方針
6、平成13年第3回本会議 松島議員 決算総括質疑と 市長答弁
7、平成13年第4回本会議 安藤議員 一般質問と 鈴木市長答弁
8、平成14年第一回本会議 市長職務代理 市長逮捕の行政報告
9、平成14年第2回本会議 渡辺市長 所信表明
10、平成15年第3回本会議 岩永議員 一般質問>
11、平成15年第4回本会議 渡辺市長 自治基本条例提案説明>
12、平成16年第1回本会議 条例修正可決 委員長報告と、討論
5、平成13年第1回 鈴木市長 施政方針
2001.03.01 : 平成13年第1回定例会(第1日) 本文
鈴木市長 施政方針
◯市長(鈴木邦彦君) 平成十三年第一回多摩市議会定例会にあたり、私の施政運営に対する所信を申し述べまして、市議会、並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
(中略)
次に、十二年度の主な取り組みにつきまして、申し上げます。
一点目は、「感動市政と新たな行政改革、地方分権と市民協働の展開」についてです。
市民感覚を大切にした、心で感じて動く市政を基本に据え、組織をあげて新たな行政改革プランの具体化に努めるとともに、サービスにおける市民の満足度を向上させるべく、ISO9001の認証取得に取り組みました。また、開かれた市政の一層の発展を図るため、福祉オンブズマン制度を導入し、新たな情報公開制度を制定いたしました。さらに、行政組織を再編し、市民にわかりやすく、簡素で効率的なものとするとともに、外郭団体の自主・自立性を促進するため、多摩市文化振興財団への補助等を見直しました。
一方、市民協働のまちづくりの見地より、NPOセンターや愛宕コミュニティセンターを開設し、市民主体の運営を推進しました。さらに、(仮称)市民自治基本条例の制定に向け、市民ワークショップの立ち上げを行いました。
(中略)
今、二十一世紀の扉が開かれましたが、世界をはじめ、我が国日本もさまざまな意味で大きな変革期を迎えています。
分権改革により、国と地方の関係についても、上下・主従から対等・協力の関係へ方向転換が打ち出されました。このような流れを主体的に受けとめ、分権の理念を現実のものにしていくために、意欲を持って行動することが今強く求められています。
人類の歴史は、それぞれの思いを実現しようとする努力で、進歩を遂げてきました。魚のように海を自由自在に行き来したいという思いが船になり、鳥のように大空を羽ばたきたいという思いが飛行機になりました。さらに形あるものばかりではなく、集団として、より多くの人々が満足して幸せに暮らすことができるように、政治や社会の仕組み、民主主義のルールが決められて実行されてきました。
すべての根底には人間の思いの実現があったのです。時代を動かし、そして創るのは人間の思いであり、歴史を創ってきたのも、人間の思いの結晶だったのではないでしょうか。
多摩というまちを、どうしたいのか、どうあるべきなのか。そしてその思いはいつも、たぎっているのかどうか。そのことが、多摩市ばかりではなく、日本という国の方向性までをも、左右していくことにつながってくるのではないかと思います。
思いは強く、深くなくてはなりません。そしてさらに熱くなくてはなりません。それが未来の展望を開き、多摩市の発展につながってゆくのです。
私は、歴史や未来は予測するものではなく、創造するものだと思います。歴史は身近なものであり、私たち、一人ひとりが歴史の創造者であり、主役なのです。
私たちのかけがえのない人生の舞台である、このまち・多摩市の希望に満ちた輝かしい歴史を、そして、分権型市民協働による新たな自治の歴史を、「市民が主役のまち」を高く掲げ、市民の皆さんと一緒になって深く今に刻み込んでいくとともに、その先頭に立って「なつかしい未来」の実現に向け、「感動市政」を推進することを、新世紀のスタートに当たり、改めて誓うものであります。
最後に重ねて、市議会並びに市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げまして、平成十三年度の施政に関する、私の所信表明といたします。
ありがとうございました。
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6、平成13年第3回 松島議員と 鈴木市長答弁
2001.09.21 : 平成13年第3回定例会(第8日) 本文
松島議員 本会議 決算総括質疑と鈴木市長答弁
◯二十二番(松島吉春君) それでは総括質疑を行いたいたと思います。
総括質疑に先立って、九月十一日のアメリカで起きました大規模な、前例を見ないテロ事件に対して本当に残念に思います。(中略)
一点は自治基本条例の制定についてであります。私たちは会派結成して以来、予算要望の第一に自治基本条例の制定をということを挙げてまいりました。市長のほうからの提案は、(仮称)市民自治基本条例ということで、若干のニュアンスの違いがあると思うんですけれども、こういうことについては平成十年ですね、臼井市長の。本当は平成九年の施政方針演説のころから、新たな自治の、という言葉を使われていました。
はっきりと新たな自治の展開をということを言い出したのは、平成十年の施政方針演説からで、そして平成十年に、たしか永山の公民館ですか、第三の分権ということについてのシンポジウム、講演会を開き、多くの議員も参加したと思います、また職員も参加したと思います。そういう中から、第三次総合計画で出た、市民協働というものを、地方分権の時代において、何とか新たな自治というものを展開していこうという中で動いてきた流れだろうと思います。
そういう中で、先ほど市長は、この決算の中で多摩NPO支援センターの開設ができた、これはやっぱり新たな地方自治の展開という中で、今後の地方自治を考える上でも非常に大きな成果の一つではなかったのかというふうに評価するものです。
ただ、自治基本条例について、市側は(仮称)市民自治基本条例と言っていますけれども、その制定過程というのが、私が想像していたものとちょっと違うような気がするものですから伺いたいんですけれども、まず、なぜ(仮称)市民自治基本条例というものをつくろうとするのか、その制定の目的、そして制定することにより、どのような効果をねらっているのかということなんです。
そのことと、その目的、どのような効果をねらっているのかということをお尋ねすると同時に、今までの経過、どのような経過で、どのように進んでくるのかをまず伺います。
◯議長(菊池富美男君) 遠藤政策推進協働部長。
(政策推進協働部長遠藤恵喜君登壇)
(中略)
◯二十二番(松島吉春君) まず、私たちの会派で自治基本条例というものを予算要望のトップに据えてきているということは、議論した結果そういうふうになっているわけですけれども、なぜなのかというと、今後の地方自治というものを考えた場合、地方分権論議がずっと進んできたよと、地方分権推進一括法が成立してきて、そして今後の地方自治を考えた場合、今までの地方自治というのは、いわゆる三割自治などと言われてきて、結局国の、中央省庁の下部機関的な仕事のみと言っては語弊がありますけれども、それが七割ぐらい、本当の自治の部分はわずか三割ぐらいしかない、もっともっと地方自治体というものが市民主権に根差したところでもって、自治の仕事をやろうではないか、そのための根拠となる足がかりをつくろうではないか、そういう意味では、自主自立した地方自治体、こういったものをつくっていく、そして議会をもっともっと活性化させ、議会の権能を拡大し、条例といったものがこの市民主権に根差した、そういう地方自治、そういう議会というものを持っていれば、そしてそこで制定された条例といったものは、十分に国の法律とも対抗していけるのではないだろうか。もちろん自治基本条例というのは、憲法に根差していなきゃだめです。地方自治法にも根差していなければだめです。憲法が想定している地方自治というものの、あの憲法制定時の夢を持った地方自治というもの、今まさにそういう自治をつくっていかなければいけないんではないか。そういうことで私たちは自治基本条例というものを予算要望のトップに据えてきたつもりです。
今、部長のお話だと、単なる市民参加条例だよと、やっぱりあの憲法をつくった当時の地方自治といったものを、本当にもう少し、そういったところに近づきたいんだという、そういう熱意というものを感じられないんですけれども、市長、その辺はいかがでしょうか。
◯議長(菊池富美男君) 鈴木市長。
(市長鈴木邦彦君登壇)
◯市長(鈴木邦彦君) 私はもういろいろな場面場面で何回もお答えをしていることですけれども、今、松島議員がおっしゃったことは、大変重要なことだと思っておりまして、私自身もしっかりとそれは認識をしています。
一つには、昨年の地方分権一括法の中での我々基礎自治体としての権能は、非常に拡大をされたという背景があると思います。それと、もう一つは、分権一括法とは、もう一つまた別の観点から、我々の側から市民への第三の分権を果たしていこう、これは平成十二年度決算の中でも自治条例を定めた一つの大きな、私は判断材料、要素だったと思います。
それと、もう一つは、介護保険のようにこれまで行政がサービス提供者としてきたものを、今度はNPOを初めとして、市民の皆さんが主体的にこれまで行政が担ってきた部分を担っていただくわけですから、そういった中での役割分担、あるいは責任の所在、そういったことも明確化をしなければいけない。さまざまな背景が相まって、私はこの市民自治基本条例をつくる必要がある。そしてもちろん地方自治法、憲法があるわけでございますけれども、この時代の中で、そういったものも改正の必要性も出てくるかもしれない。我々は常に、どちらかと言えば、今までは上からの流れの中で仕事をしていたけれども、これからは我々、そして市民の皆さんと協働で主体になって世の中をつくっていく、地域をつくっていくという、そういう中での自治条例の必要性、そういったものを痛感をして、制定の決意をさせていただいたということでございます
◯二十二番(松島吉春君) 市長の言わんとするところも、わからないではないんですけれども、私はもう少し、現実のところ、市民参加条例にならざるを得ない、あるいは情報公開条例にならざるを得ないというのが各市の条例だと思うんです。ただ、これから制定しようとするときの、熱意ですね、情熱。現実こんなものだろうからというのではなくて、やはりその辺の熱意、情熱を持って、本当に国と対等、平等な、そういう自治体を築き上げるんだ、そのための条例なんだというくらいの熱意は、やっぱり持って仕事に当たるべきではないかと思います。私たち議会の有志十六人でも、松下圭一先生を招いて、二十五日からスタートしますけど、そういう熱意は、やはり我々、自分たちの議会の権能というものを、国と対等なぐらいに、そういう強めていくよというくらいの熱意を持って私たちは当たっていきたい、このように考えております。
(以下省略)
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7、平成13年第4回 安藤議員と 鈴木市長答弁
001.12.04 : 平成13年第4回定例会(第2日) 本文
安藤議員 一般質問と市長答弁
◯二番(安藤邦彦君) 二番安藤邦彦です。通告に基づき三問質問をいたします。
1 防災体制の現状について。
(中略)
3-1 現在行なわれている、ワークショップの現状についてお答えください。
3-2 市長の現在考えておられる、「自治基本条例」は、どのようなものなのか、特に、「市の憲法」としての位置づけ、「市民参加」「市民参画」「市民協働」のあり方を、現行法制度との関係の中でどのように定めるお考えか、お答えください。
以上、ご答弁をいただきまして再質問をさせていただきます。
◯市長(鈴木邦彦君) 安藤議員の一般質問にお答えします。
まず1-1についてお答えします。
(中略)
次に3-1についてお答えいたします。
(仮称)市民自治基本条例制定に向けて、本年一月から数え、これまで二十回の市民ワークショップ、十二回の職員プロジェクトチームの検討会等を行い、去る十一月十七日にはパルテノン多摩において百七十四人の方々の参加のもと、市民フォーラムを多摩市市民自治基本条例をつくる会と市との共催で開催したところでございます。
この市民フォーラムでは、これまでつくる会と市職員プロジェクトチームが協働で検討してきた(仮称)市民自治基本条例の骨子や盛り込むべき内容等の昼間報告をはじめ、住民投票をテーマとした「みんなでワークショップ」、逢坂ニセコ町長・辻山中央大学教授・市民自治基本条例等を検討する近隣市の市民の方を招いてのパネルディスカッションを行なっております。
この報告を行なうまでには、中央大学法学部の辻山教授や「みたか市民プラン21会議」の宮川代表を招いて、「市民自治」や「市民参加」の勉強会や「多摩市市民自治基本条例をつくる会」の設立や、市とつくる会の役割などを規定した「パートナーシップ協定」の締結、あるいは、「日帰り合宿」、市職員プロジェクトチームとの「とことん情報交換会」などを行なっております。
また、つくる会では、多くの市民にこの活動を知ってもらうとともに、より多くの方の意見をお寄せいただくため、「広報TAMACITIZING」を発行し、百七十一カ所の自治会や公共施設に配布しております。
今度とも、市民と行政の協働作業を行いながら、寄せられた意見等を「市民ワークショップ」と「職員プロジェクトチーム」で整理し、条例案に反映させ、明年四月前後に「(仮称)市民報告会」を開催し、市民の方々に広く報告するとともに、最終的な調整・精査を行い、明年六月には、「つくる会」と「職員プロジェクトチーム」で一本化された条例案の提言を受けることとなっております。
2についてお答えいたします。
私が考える(仮称)多摩市市民自治基本条例は、市民自治の理念、参加・参画の基本的なルール、そして、その市民自治の理念を実現するために必要な具体的道具である参加・参画の仕組みの整備や手続、行政サービスを協働して提供するパートナーとしての役割等の明確化を目的として制定してまいりたいと考えており、現行法における議会制民主主義を柱としながら、それを支え補完し、自治体の組織運営・活動の基本原則及び自治体と住民の関係について規定した条例が、(仮称)市民自治基本条例になるものと考えております。
また、「市の憲法」という表現は、条例の最高規範性を比喩的に申し上げているものであり、(仮称)市民自治基本条例の中に現行法制度の範囲内で、「市民参加」「市民参画」「市民協働」等の項目を規定していくものと考えております。
今回の市民フォーラムでは条例の骨子等が報告され、今後とも、多摩市市民自治基本条例をつくる会と市職員プロジェクトチームが協働して検討し、条例案が提言されますが、私はこの条例案を、庁内組織で検討し、市長の条例提案権において、内容を精査し、最終的な条例案を提案いたしたいと考えております。
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8、平成14年第1回 行政報告 市長逮捕
2002.03.01 : 平成14年第1回定例会(第1日) 本文
市長職務代理 行政報告
◯市長職務代理者助役(土方篤君) それでは、ただいまから報告事項につきまして七件行政報告をさせていただきたいと存じます。
なお、冒頭で開会前に議長のお許しをいただきまして発言をさせていただきましたが、さらにその辺を含めまして、ご報告をさせていただきたいというふうに思っております。
ご承知のとおり、去る二月二十三日に鈴木多摩市長が収賄容疑で逮捕されました。市民の皆様から市政をあずかる市長が逮捕されたことにつきましては、まことに遺憾でございます。議会を初め、市民の皆さんに多大なご迷惑をおかけいたしております。心からお詫び申し上げたいと存じます。
今後、市の行政の停滞及び市民サービスの低下を来さないよう、市職員全員一丸となって職務に精励し、市民の皆様への信頼回復に全力で努めてまいる所存でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、今回の事件の概要等につきまして、まずご報告を申し上げさせていただきたいと存じます。
既に、議会運営委員会及び代表者会議へのご報告、あるいはマスコミの皆さん方の報道等でご存じかと思いますが、このたびの事件につきまして、情報が極めて少ない状況でございます。そういう状況でございますが、経過等をご説明申し上げたいと存じます。
市長は二月二十三日午後五時三十分、警視庁に逮捕されました。その後、二十五日には身柄送検され、現在は勾留中でございます。逮捕後、入手した情報によりますと、警視庁の逮捕に際しての被疑事実につきましては、警視庁からは収賄被疑者である市長は、市発注のごみ対策事業の業務委託に関し、その施行計画、契約方式の決定、随意契約における相手方の決定、指名競争入札における指名業者の選定、予定価格の決定、入札の実施及び委託契約の締結等の事務を統括掌理職務に従事していたもので、小島豊一及び秋山和夫は、市長の支持者であること。贈賄被疑者の増田正美は、一般産業廃棄物の収集運搬処理及びし尿処理を目的とする東都興業株式会社の代表取締役である。被疑者の市長、小島、秋山の三名は、共謀の上、増田から東都興業が多摩市から不燃物、粗大ごみ等収集運搬等の委託を受けられるよう有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、平成十一年十月下旬ごろ、稲城市の東都興業の事務所において、現金数百万円の供与を受け、もって自己の職務に関して、賄賂を収受し、増田は市長等に対し、現金数百万円を供与し、もって職務に関して賄賂を供与したものであると、そういう発表がなされておるわけでございます。
今回の事件につきましては、市側が最初に情報として得ましたのは、二月二十三日土曜日の新聞朝刊でございます。その後、同日昼前に、市長から私に「現金は受け取っていない」「午後、警視庁へ行く」という内容の電話がありました。
そこで、市長が警視庁へ事情聴取に出向いたことに対して、午後四時三十分より議会の代表者会議にご報告を申し上げました。午後五時からは、マスコミの皆さんに記者会見を行いました。その段階で情報は報道の皆さんの情報に限られており、警視庁からも全く情報がない中での対応でございました。
その後、テレビの報道等で市長逮捕の報道がされましたので、午後六時十分から二回目の記者会見をさせていただきました。そして、午後六時三十六分からの代表者会議にその旨のご報告を新たにさせていただきました。
翌二十四日日曜日午前九時から、市の参事職以上の職員を招集いたしまして、経過報告をいたしました。十時十分からは、警視庁による家宅捜索が、市長室、財政課、総務契約課、環境対策課、資源化センター、学務課の各事務室で始まり、午後三時十五分に終了いたしました。その間十時四十五分から議会運営委員会にご報告し、午後四時から記者会見をさせていただきました。
二十五日月曜日には、始業開始時刻の八時三十分に、私から庁内放送と文書をもって、全職員に事件の概要を知らせるとともに、市民の皆さんに対するていねいな対応について指示をさせていただきました。同時に、私が、先ほど申し上げましたとおり多摩市長職務代理者となる旨の告示手続を行いました。市民の皆さんには、市役所出入口四カ所及び二つの出張所に文書掲示を行い、ホームページにもお知らせを掲載し、おわび申し上げ、午後四時からの代表者会議にご報告をさせていただきました。
二十六日火曜日には、午前十時から議会運営委員会に前日の対応などをご報告させていただきました。
二十七日水曜日には、午前十時から議会運営委員会に、その後の状況などをご報告いたしました。その後、十二時三十分からの代表者会議・議会運営委員会の合同会議に状況のご報告を申し上げ、弁護士を通じて得た、市民の皆様へ深くおわびする旨の、市長コメントの内容をお伝えいたしました。あわせて、弁護士は北川秀二弁護士である旨のご報告をいたしました。
午後一時三十分から記者会見を開かせていただきまして、市議会第一回定例会に提案する案件などの説明とあわせまして、本事件に関する市長のコメントについてお伝えを申し上げました。
この間、市民の皆様から多くのご批判等をいただきました。昨日までに市民相談に寄せられました件数は、Eメール七十五件、はがき・手紙四件、電話十九件、来庁一件、合計九十九件でございます。
以上が、二月二十三日以降の主な経過でございます。
現在、捜査当局による捜査が続けられておりますが、この捜査に全面的に協力することにより、ことの真相解明に努める所存でございます。このような事態が生じたことにつきまして、市民の皆さん、そして議会の皆さん方に、大変なご迷惑をおかけ申し上げておりますことを、重ねておわび申し上げる次第でございます。
続きまして、七件と申し上げましたその他の6件について、ご報告をさせていただきます。
まず二件目として、東京都市長会関係につきまして、主なご報告を申し上げます。
平成十三年度第七回市長会が一月二十四日に開催されました。
(以下省略)
(編者:注)
市長逮捕はまさに驚きであった。ここに採用した議事録にもあるように議会では議員16名が議員立法に向けて9月25日より勉強会を重ねており、これから具体的に条例制定に向けて、市民と対話集会を開催しようとしていたときであった。突然の市長選挙に向けて活動が始まり、超党派の自治基本条例の勉強会のメンバーが担ぐ市長候補は3人となり、熱い選挙戦が戦われた。当然選挙後また超党派でというわけには行かなかった。
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9、平成14年第2回 渡辺市長 所信表明
2002.06.11 : 平成14年第2回定例会(第1日) 本文
渡辺市長 所信表明
◯市長(渡辺幸子君) 平成十四年第二回多摩市議会定例会の開催に当たり、私の市政運営に対する所信を申し述べて、市議会並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜わりたいと存じます。
平成十四年二月二十三日、鈴木前市長が収賄容疑で逮捕されました。この突然の報道は多摩市内にとどまらず、全国を駆けめぐり、私たちに大きな衝撃を与えました。この出来事は、これまで営々と築いてきた市民と行政の信頼関係を一瞬にして失わせ、同時に、多摩市民としての自信と誇りに大きな陰りを与えました。このような前市長の背信行為は断じて許すことはできません。
私は前市長辞任後の出直し市長選挙で、多くの市民の皆様からご支援をいただき、新たに市長に就任いたしました。選挙戦を通じて本当に多くの市民の方々と出会い、率直な意見交換をさせていただきました。その中で、市民の皆様の市政へのお気持ちには大変厳しいものがあること、市民の皆さんが本当にこのまちを愛し、少しでもよいまちにしたいという熱い思いをお持ちであることを改めて強く感じました。
新たに市長となりました私に課せられた最大の責務は、市政に対する市民の信頼回復であり、市民をはじめ市議会の皆様のご協力をいただきながら、職員の英知を集め、「誇れるまち・多摩の再生」の先頭に立つことにあります。
きょう、「正しい姿勢で明るい市政」を確立すべく、市長としての新たな歩みを始めました。十四万二千人市民の代表として重責を担うのだという緊張感と使命感のもとに、今回の不祥事をむしろ市政改革のバネとしてとらえ、改革への強い意志とたゆまぬ努力により、市民の信頼を回復するよう最善の努力を傾注してまいる所存でございます。
次に、私の市政運営に臨む基本的考え方について、申し述べます。
私たちのまち・多摩市では、これまで多くの先人がまちづくりに取り組まれ、長年にわたり「多摩市は住みよい」とする市民の方々が九割を超すという高い評価をいただいてまいりました。しかし、長引く景気低迷の影響などにより、市財政の歳入の根幹をなす個人市民税が減少するなど、行政を取り巻く社会経済環境が非常に厳しく、まちづくりの課題が山積していることも、一方の現実です。
多摩ニュータウン事業が収束に向かう中での人口の漸減傾向や少子高齢化、高度情報化、地方分権への対応。子育て支援や高齢者施策の推進などによる市民生活を支えるコミュニティ基盤の強化。多摩センター地区を中心とした地域の活性化や雇用の創出。次代を担う世代に対する教育や地球規模の環境への配慮。さらには本当に市民に役立つところである市役所とするための諸改革や、国や東京都、さらにはニュータウン施行者への自治体としての適切な対応などなど、今日、多摩市が直面する課題は非常に多岐にわたっています。
このように、多摩市を取り巻く環境は非常に厳しい状況にありますが、私は、これまで築き上げられてこられた人々のきずなを大切にし、心の通った温かいまちづくりに心がけ、一日も早く市民の皆様が「多摩市民です」「多摩市に住んで本当によかった」と自信と誇りを持っておっしゃっていただけるよう、次の点を施策の基本に据え、市政を進めてまいります。
その第一は、「清潔な市政運営」を推進することです。市政は何よりも清潔で正しい姿勢で行なわれなければなりません。私は市民の皆様からの信頼回復に向け、お金をかけない、きれいな選挙から第一歩をスタートいたしましたが、今回のような汚職事件の再発防止や契約事務の一層の透明性を図るなど、高い理念と倫理観を持って市政を変革する決意です。
第二は、「経営感覚の鋭い市政運営」を推進することです。長引く不況下にあって、民間では大変厳しい改革の努力がなされています。時代の流れが大きく変化しつつある今日、今まで以上に経営感覚を鋭く持ち、長期的な視点に立って、企業誘致などにより市財政の歳入拡大に努める一方、歳出構造の徹底した見直しを図ります。あわせて、市民へのわかりやすい情報公開に努め、市民に対する説明責任を果たしつつ、内外環境の変化に機敏かつ柔軟に対応したスピード感と自己規律のある市政を運営し、市民の立場に立った、市民本位の自治行政を推進していきます。
第三は、「市民が支え合う、温かく夢のあるまち・多摩」の実現を図ることです。市民本位の自治行政を推進するためにも、市民、民間さらに非営利活動団体、ボランティアの皆様をはじめ、多くの方々にまちづくりに参画していただき、知恵と力を集める必要があります。少子高齢化への対応や個性を大切にする教育環境の創造など、「だれもが夢を持ち、互いに支え合うまち・多摩」の実現に向かって、創造的なまちづくりを市議会をはじめ市民の皆様とともに推進して参ります。
なお、今後のまちづくりをより実りのあるものとするために、地方分権やニュータウン事業の収束に向けた取り組みなどの中では、「対等・平等」に基づく国や東京都との関係や、ニュータウン施行者との連携にも十分留意しながら、自治体の長としての積極的な対応を図ってまいりたいと考えています。
続きまして、平成十四年度の重点施策について、申し述べます。
私は、今年度の市政について、総合計画をはじめ、行政の継続性と安定性に留意しつつ、市民の皆様にお約束した公約の早期実現のため、先に述べた三つの基本事項に沿って、積極的な施策の展開を図ってまいります。以下、施策につきましては、公約を主に述べたいと思います。
第一は、「清潔な市政運営」の推進です。
まず、前市長の不正原因の究明と再発防止については、早急に「不正事件の原因究明及び再発防止に関する調査検討委員会」を設置し、年内を目標に具体的な改善方策の実施を図ります。また、不正行為に対する処置についての契約条項を明記し、指名停止基準を改正するなど、公正な競争、適正な利潤を前提に、不正行為に対しては厳罰で臨みます。さらに、市が発注する工事や委託に関わる業者の皆さんに対し、市の考え方の周知徹底を図るなど、事業者の皆さんにも高い倫理観を求めてまいります。
次に、契約事務の透明性の向上については、工事の予定価格公表基準額の引き下げにあわせて、一定の委託業務契約に関する予定価格を公表します。また、入札制度の見直しにあわせて、電子入札を含むITを活用した契約事務システムの導入を図り、公平性・競争性・効率性の向上を図ります。現在六億円の一般競争入札の基準額を大幅に引き下げるとともに、指名基準についても競争性や透明性などに留意して見直しを図るなど、契約事務を抜本的に見直します。
第二は、「経営感覚の鋭い市政運営の」の推進です。
企業誘致などに積極的に努める一方、地方税財源の移譲を市長会等を通じて国に求め、新たな自主財源のあり方についても研究してまいります。多摩市の財政構造の硬直化を防ぎ、市民生活の安定を図りつつ健全な財政運営を堅持していくために、施設の維持コストをはじめ、各施策に要するコストの実態を分析し、市民の皆様にも明らかにするなど、費用対効果に対する鋭い感覚に基づいて、人・もの・金などの経営資源の再編を図り、歳出構造を歳入に見合ったものへと転換させていきます。
また、市民と行政が協働してまちづくりを進めていくためには、情報の共有化が前提となります。このため、広報や公式ホームページなどを活用し、バランスシートの状況など、さまざまな行政情報を市民にわかりやすく公開することなどにより、市民サービスのあり方などに関する市民の皆様との合意形成に努めます。市の政策づくりへの市民参加については、意見募集をはじめ、多様な参加機会を広げてまいります。
組織や職員のあり方については、職員一人ひとりが民間の皆さんの血のにじむような改革の状況をしっかりと認識し、意識を高く持って前向きに創造的な意見を出し合う、自己規律を持った組織づくりが必要です。このため、政策評価や事務事業評価などの取り組みや、計画・実行・評価・改善というマネジメントサイクルの徹底などを通して意識改革を進め、事業の目標を明らかにして、その結果の評価を次に生かしていく仕事のスタイルをさらに浸透させていきます。また、人材育成方針を決定し、人事制度全般にわたった見直しを行なう一方、減点主義ではなく、職員のよいところを引き出せるような組織運営に努めます。さらに、組織や職などの見直しを行い、民間人の登用も進めてまいります。
第三は、「市民が支え合う、温かく夢のあるまち・多摩」の実現です。
まず、温かな人と人との結びつきが広がる、夢のあるまちづくりについてです。平成二十七年には四人に一人が高齢者になると予測されています。年齢や性別、ハンディの有無に関わらず、すべての市民が地域の一員として生き生きと暮らせるよう、サークル活動などを通して生まれるネットワークや、地域に共に住むことによって生まれるネットワークをさらに広げ、少子高齢化社会に向けて、今なら間に合うまちづくりを、市民、ボランティア、NPO、自治会などの皆さんと一緒になって進めてまいります。(仮称)市民自治基本条例については、これまでの市民参画による検討結果をもとに、より広く市民の意見・提案を受けながら多角的な検討を行い、議会の皆様と率直な意見交換を図りながら、多摩市らしい条例の制定を進めます。小・中学校の統廃合による学校跡地施設等については、これからのまちづくりを進める上での市民共通の貴重な資源であるとの認識に基づき、市民参加により、恒久的な活用方針を長期的な視点に立って策定します。
(以下省略)
10、平成15年第3回 岩永議員 一般質問
2003.09.08 : 平成15年第3回定例会(第5日) 本文
岩永議員 一般質問
◯14番(岩永ひさか君) 岩永ひさかです。通告に基づき1問質問いたします。
(仮称)多摩市市民自治基本条例の制定に向けて。
市民ワークショップでの策定として、全国的にも注目を浴びてきた(仮称)多摩市市民自治基本条例の市民提言案が市長に手渡されてから1年以上が経過し、ようやく行政素案が示されました。
パートナーシップ協定を結び、市長と市民側の信頼関係のもとで策定が進められてきたわけですが、不測の事態であった一昨年の市長交代により、条例そのものの制定が一体どうなってしまうのか、一時は混乱に陥りました。何とかパートナーシップ協定は破棄されることなく、再び市長との新たな信頼関係を築きながら、制定を目指して取り組んできたと思います。市民側の「多摩市市民自治基本条例をつくる会」は市長交代を考慮し、パートナーシップ協定での約束を果たしていきたいし、果たしてもらいたいとの思いはあったものの、制定時期については先送りもやむを得ないと判断をし、新市長の手腕にも期待しながら、条例制定の動向を見守ってきました。
パートナーシップ協定では市民提言案に対し、加筆・修正などをする場合には、作成側のつくる会に随時説明や協議をすることが前提となっていました。新たな時代の市民参画は行政と市民とが、いわゆる「協働」体制をつくりながら、互いに牽制し合うだけの関係ではなく、「協調」できる部分を見出しながら進めていくのではないでしょうか。お互いの立場を理解し合うことが「協働」には不可欠です。
いわゆる市民自治についてのルールを定めるこの条例は、市民自身の自己選択、自己決定が迫られる厳しい時代において、非常に重要なものです。だからこそ、市民ワークショップとの協働による策定を目指してきたのではなかったのでしょうか。行政主導で制定できない理由は明らかです。
なぜならば、市民自治のあり方を決めるのは行政ではなく、市内で活動する市民だからです。もちろん全市民が行政への参画を強いられるわけではありません。多摩市というエリアで、だれもが快適に暮らせる環境が必要です。新たな権利である「まちづくり権」を保障するのが市民自治基本条例を制定する大きな意義です。
さて、示された行政素案は「つくる会」の市民側にとっては不本意なものでした。もちろん評価するところもありますが、最も驚いた点は、〈前文〉にも加筆・修正が加えられていたことです。条文については、文書作成のプロとしての行政職員が整理することは了解していましたが、〈前文〉の趣旨そのものが変わってしまうような修正はもちろんのこと、市民提言案の〈前文〉はワークショップに集まってきた市民の公募によって選ばれた「作品」であることを考えると、一字一句直すにもやはり配慮がいるのではないでしょうか。行政側が大幅に〈前文〉リニューアルしたことには、市民側がどのような思いで〈前文〉を作成してきたかという過程すらも認めていないと思わざるを得ない結果となりました。非常に残念に思います。
また、何の説明もないという部分では、パートナーシップ協定を締結した意義の理解、全庁挙げて行ったという市民自治基本条例に対する職員研修の効果、職員の反応はどのようなものであったでしょうか。市民に対する説明責任はもちろんですが、特にワークショップを進めてきた所管課が、市民提言案をどのように取り扱い、説明をしたのか、昨年6月の議会での市長の発言の中では、全職員と意識を共有したいという意気込みがありましたが、それが1年の中でどう発揮されてきたのかについても、市民側に十分な説明をすべきであると考えます。
市民ワークショップの中では、行政のプロジェクトチームとも協力し、ともに知恵を出し合うとともに、なぜこの条例を制定するのかについても時間を割いて議論を積み重ねてきましたが、その結果を踏まえての行政素案と言えるでしょうか。再度、市民提言案にどれほどの市民の汗が込められてきたのか、お金にはかえれらないことを念頭に置きながら振り返ってもらいたいと思います。それと同時に、市民側を支えてきた職員や休日返上で市民にかかわった職員たちの思いも無にしないでほしいと思います。
この職員たちは、もちろん全職員から見ると、一部にすぎないと言えるでしょう。しかし、このような熱意のある職員を生かせずして、今後、多摩市が進めていきたいとうたい上げている「市民協働」のまちづくりは進んでいくでしょうか。小さいかもしれませんが、その思いを少しずつでも広げていくことこそ、今、最も多摩市の渇望するところではないでしょうか。それについては市民も同様です。「一部市民」との批判や非難はありますが、みずからの地域はみずからでつくっていこうとする人々は一時に大量発生するわけではありません。自分でかかわろうと思い始めた人から、そしてできる人から少しずつ取り組んでいくことがその価値であると思います。そのことを強要することもできません。時間はかかりますが、自治をしていこうという思いの輪を広げていくことが重要ではないでしょうか。
やはり今までの自治組織のみならず、自治の担い手になろうとする人たちやグループの、さまざまな地域での新しい市民の動きを支援していける体制づくりを推進していくことが必要だと考えます。数量の観点で一部市民として切り捨てることは、多摩市にとって大きな痛手だと思います。
市民の手づくり条例にしていきたいという試みと、なぜ「手づくり」にするのかという意味、またパートナーシップ協定を締結した意義など、(仮称)市民自治基本条例の制定をめぐっては、今後の市民と行政との信頼関係をどう築くのかについても大きな課題を投げかけてきました。行政素案が出されたことを契機に、再度、幾つかの点を整理する意味で、以下質問いたします。
I、(仮称)市民自治基本条例の制定をめぐって。
1)「つくる会」の位置づけについて。
2)パートナーシップとは何かについて。
3)市民提言案から行政素案を示すまでの経過について。
・市民案を改正した視点。
・庁内でどのように合意形成をしてきたのか。
4)今後の取り組みについて。
・市民へのPR活動、説明会の日程やその手法について。
以上、ご答弁をお伺いして再質問いたします。
11、平成15年第4回 渡辺市長 条例提案
2003.12.09 : 平成15年第4回定例会(第7日) 本文
提案説明
◯市長(渡辺幸子君) ただいま議題となっております、第83号議案、第85号議案及び第86号議案について提案の理由を申し上げます。
まず、第83号議案についてです。
本条例は国民健康保険税の基礎課税分及び介護納付金分にかかる所得割税率・賦課限度額等を改正するものです。
国民健康保険制度は、医療保険制度の中核として、きわめて重要な役目を果たしていますが、急速な高齢化の進展、医療の高度化などにより、医療費は年々増加の傾向にあります。また、経済の長期低迷などによる雇用の不安定化などから被保険者数が増加しており、無所得者や低所得者層の加入割合の多い国民健康保険は、厳しい財政運営を強いられています。
このことから、平成15年6月26日に多摩市国民健康保険運営協議会へ国民健康保険税の税率等の改正について諮問いたしました。運営協議会では5回にわたりご審議をいただき、平成15年10月8日に意見を付して「財政が厳しい中では、原案どおりの改正はやむを得ない」との答申をいただきました。
なお、内容につきましては、基礎課税分として、所得割税率を「100分の5」から「100分の5.2」に、賦課限度額を「50万円」から「53万円」に改め、介護納付金分として、所得割税率を「100分の0.9」から「100分の0.96」に、均等割額を「4,800円」から「6,000円」に、賦課限度額を「7万円」から「8万円」に改正するものです。
次に、第85号議案についてです。
平成16年4月1日付で多摩市の組織を改正するため、多摩市組織条例の一部改正を行うものです。改正に当たっての基本的な考え方は、市民にわかりやすい組織づくり、重点施策、横断的な課題への対応、行財政再構築プランの推進体制の整備を図ろうとするものです。
具体的には、重点施策及び横断的な課題への対応として、健康福祉部が所掌する児童の福祉及び母子福祉に関する事務、並びに教育委員会が所掌する私立幼稚園や青少年関連事務を統合して、新たに「子ども青少年部」を設置することにより、市民にわかりやすい総合的な子育て支援組織体制とするものです。また、くらしと文化部が所掌する交通対策、駐車場対策関連の事務を、道路所管との連携強化を図るため、都市づくり部へ移管し、より効率的な組織の整備を図ります。さらに、策定中の行財政再構築プランを推進し、新たな公共の仕組みづくり等への対応を図るため、市民活動推進課の設置、経営改革推進担当課長の設置を行うものです。
次に、第86号議案についてです。
本条例は、地方分権時代の多摩市における、まちづくりの理念並びに自治の担い手としての市民、市議会、執行機関の役割と責務を明確にするとともに、それぞれが連携、協力してまちづくりを行う、私たちのまちの自治の基本原則を定めるものであり、市の総合的な規範となるものです。
平成14年6月29日に、「多摩市市民自治基本条例をつくる会」から提出された条例の市民案をもとに、庁内に設置した検討組織において検討を重ね、本年8月19日に条例素案を策定しました。
「つくる会」に対してはパートナーシップ協定を尊重し、条例素案の説明、意見交換を行うとともに、広く市民の皆さんに意見を求めてまいりました。同時に、市議会においてもご検討いただき、ご意見をいただきました。
こうして、条例素案に寄せられた市議会、つくる会及び市民の意見等を反映した条例案に至りましたので、提案するものです。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
12、平成16年第1回 条例修正可決
2004.03.29 : 平成16年第1回定例会(第8日) 本文
総務委員長 委員長報告
○総務常任委員長(安藤邦彦君) 11番安藤です。総務常任委員会の審査について、その概要をご報告いたします。
まず、第86号議案多摩市自治基本条例の制定についてを議題といたしました。
本条例案については、数年前より議員有志による勉強会もあったと聞いておりますが、当委員会といたしまして、昨年7月より延べ12回にわたる委員会を開催し、その内容についてご報告いたしますと、昨年6月25日、(仮称)市民自治基本条例について所管事務調査を行うことを決定しました。7月22日、市側より多摩市自治基本条例(素案・未定稿)が提出され、この説明を受け、質疑のうち委員会で意見交換を行いました。8月8日、参考人(多摩市自治基本条例をつくる会代表及び副代表の方)にご出席いただき、市民案の策定経過及び基本的な考え方等に対する質疑を行いました。8月19日、市側より多摩市自治基本条例(素案)が提出され、午前中は委員間で意見交換を行い、午後からこの説明を受け、質疑を行いました。10月22日、石川県羽咋市において、まちづくり条例について行政視察を行いました。10月30日、市側より多摩市自治基本条例素案(10月30日版)未定稿が提出され、この説明を受け、質疑の後、委員間で意見交換を行いました。11月14日、市側より多摩市自治基本条例素案(11月13日版)が提出され、この説明を受け、質疑の後、委員間で意見交換を行いました。11月21日、市側より多摩市自治基本条例素案が提出され、今回は、市側の説明員は出席せず、委員間で意見交換を行いました。12月10日、多摩市自治基本条例が12月1日付で正式に議案として上程され、市長に対する質疑を含め審査を行いましたが、慎重審査のため継続審査となりました。
翌年、1月19日、多摩市自治基本条例案について引き続き質疑を行いましたが、慎重審査のため継続審議となりました。また、審査の参考にするため、休憩中の意見交換という形で学識経験者の辻山氏、自治連合会の竹田会長、商工会の峯岸会頭の3氏に次回の委員会に出席することを依頼することになりました。
2月10日、多摩市自治基本条例案について引き続き質疑を行いましたが、慎重審査のため継続審査となりました。また、審査の参考にするため、学識経験者の辻山氏、自治連合会会長の竹田氏、商工会の会頭の峯岸氏の3氏と休憩中の意見交換を行いました。2月23日、多摩市自治基本条例案について、休憩中に委員間の意見交換を行い、慎重審査のため継続審査としました。
そして、3月18日、多摩市自治基本条例案について委員間の意見交換を行い、質疑終了後、菊池委員ほか3名から修正案が提出され、賛成多数で修正可決すべきものと決しました。
このような経過をたどり、当委員会として結論を出すに至ったことは、市民の皆さん、行政、議会など関係各位のご努力とさまざまな事情により反対する立場に回った委員の方のご意見も含め真剣な議論の積み重ねの結果であると認識し、感謝いたします。
さて、当日の委員会では、休憩中の意見交換に続き、原案に対し質疑をうかがったところ、質疑はありませんでした。そして、1名の委員より、修正案、29条及び30条について定められるであろう規則あるいは要綱をあわせて条例の審査をすべきであると考えるので継続審査とすべきであるとの動議が出されました。それに対する質疑の後、採決を行ったところ、挙手少数で否決となりました。その後、4名の委員から修正案が提出され、あわせて議題といたしました。質疑の中での主な論点は次のとおりであります。
今回の修正案は、抜本的改正なのか、基本的考え方を同じにするものなのか。そして、22条2項の修正について、反対する立場で、市民に参画を強制する形になるとの意見、また、一方、これは参画できない、できにくい市民への配慮を求めたことであり、評価をするという意見等のぶつかり合いがありました。そして、22条2項の配慮をするということの内容については、サイレントマジョリティーへの配慮であるという趣旨であるという意見がありました。
その後、続いて意見討論を求めたところ、計5名の委員より意見がありました。代表的なものをご紹介いたしますと、修正案に対し賛成、修正案を除く原案に賛成の立場で、1名の委員より、2条で最高規範をうたい、12条で市長の設置、22条で行政に対し市民への配慮を求めるなど評価できる点が数多くある。また、ほかの委員より、全国でも類を見ないほど市民、議会、市長の役割、目的がバランスよく配された、胸を張って出せる条例案である。また、別の委員より、市長の責任を明確にできたことは画期的であり、さらに成長していく条例とすることを検討したいとの趣旨で意見がありました。
一方、原案、修正案に反対の立場で、特に6条について、ある委員から、参加する以上は発言と行動に責任を持ちなさいという非常に威圧的な義務条項であり、市民の権利を押さえつける条項は認めるわけにいかないという趣旨の意見がありました。
また、22条2項を削除すべきである。「市民主権」という表現をどこかに入れるべきである。市民の義務は入れるべきでない、必要ない。それから住民投票に関する市民の発議に関して、要件を50分の1から100分の1にすべきである。自治推進委員会に対して議会、市民への提言ができるようにすべきである。また、要綱、規則も含め一緒に議論すべきであるから、継続審査すべきであるという趣旨の意見がありました。
そして、採決に入り、まず、修正案に対し挙手により採決したところ、挙手多数であり、可決すべきものと決しました。
次に、修正部分を除く原案について、挙手により採決したところ、挙手多数であり、可決すべきものと決しました。
次に、第20号議案東京都市町村公平委員会を共同設置する地方公共団体の数の減少及び東京都市町村公平委員会共同設置規約の変更についてを議題としました。
市側より多摩地域農業共済組合が解散することによるものであるとの説明があり、質疑、意見討論なく、採決したところ、挙手全員で可決すべきものと決しました。
次に、第21号議案多摩市職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改定する条例の制定についてを議題としました。市側により、庁舎管理員の業務の位置づけや勤務条件について改めて見直しを行った結果によるものである。庁舎管理業務は労働基準法第41条の断続的労働として位置づけられるものとして許可手続を行い、許可が得られれば、第19条として断続的業務に従事する職員の特例を設けるとの説明があり、質疑の後、意見をうかがったところ、1名の委員より可決の立場での討論があり、採決したところ、挙手全員で可決すべきものと決しました。
次に、15陳情第33号中央防災会議に浜岡原発震災専門調査会の設置を求める意見書に関する陳情についてを議題としました。署名の追加があり、質疑、意見討論なく、挙手による採決を行ったところ、可否同数であり、委員長裁決により不採択すべきものと決しました。
次に、16陳情第9号無年金.低年金者を無くし、男女格差是正、老後の安心確保のために最低保障年金制度創設の意見書提出を求める陳情についてを議題としました。市側より、現在さまざまな年金制度の改革が進んでいる。国連より勧告があったとの趣旨の説明がありました。質疑の後、ご意見を伺ったところ、1名の委員より採択の立場で討論があり、挙手により採決を行ったところ、可否同数であり、委員長裁決により不採択すべきものと決しました。
以上をもって報告を終わります。
2004.03.29 : 平成16年第1回定例会(第8日) 本文
岩永議員 修正可決討論
◯14番(岩永ひさか君) 2003年度第86号議案多摩市自治基本条例の制定について、民主・生活者ネットを代表し、委員会修正案可決の立場から討論いたします。
私たちは今、大きな社会変化の波にさらされており、政治、経済、社会状況などあらゆる側面での総括と、それに基づいた分析をしながら未来を切り開くことが求められています。端的に言えば、幸せの価値基準を自分自身の中に見いだす時代になっている。これまでとは違って、はるかに困難な時代に差しかかったといえるのではないでしょうか。
一人ひとりの市民にとって、物質的な豊かさの追求から卒業し、精神的な豊かさを充実させていく道のりは生やさしいものではないと言えると思います。物質的な豊かさはつかみやすく、見えやすい基準の設定ができました。これまでそこに安易に頼ってきた政治、経済及び社会状況のありようが破綻するのは目に見えています。経済成長中心主義が時代の歯車に合わないようになり、その中での政治システムのあり方も大きく変わってきています。それゆえ、これまでの中央集権時代の政治のあり方の制度疲労から、これにかわるものとして地方分権時代の到来とならざるを得なかったと考えています。
中央集権の発想は一気に経済成長を遂げる手法として有効であったと考えますが、これが岐路に立たされ、分散と多様化、人間回復時代に入ったとき、私たち市民自身に求められているのは、自己であり、自己の選択とそれに伴う責任を自分自身の中でどう消化していくのかということであります。
求められる地方分権の時代に、各地方自治体を注目すれば、その地域社会を構成する一人ひとりの市民のあり方が地方自治体の政策決定にも大きくかかわることになることが見てとれます。多摩市での自治基本条例制定の取り組みは、そのような時代変革の波により迫られた自治体のあり方、その地域で生きる人々が新しい社会をどう見据えていくのか、そして、その中で市民自身は何をすべきなのか、何ができるのかというみずから考える、みずからおさめる自治の発想を原点として展開してきたものと考えます。
だからこそ、今までの行政の手法とは全く異なった市民ワークショップによる条例策定にチャレンジしたものだと思います。この方式には賛否両論ありますが、自治とは押しつけられるものではありません。自由な発想で、なるべくさまざまな縛りを取り除き、市民同士の議論を深めてきたことは大いに注目できる点だと考えます。この方式は、市民同士の自治のありようの大きな経験となりました。全く属性の違う人間同士が立場や価値観の違いを超え、忌憚なく意見交換をしてきたことの事実の積み重ねは重要なことでした。自治基本条例にはモデルがありません。条例の形はまさに地域ごとに決定されていくものです。しかし、最も重要なことは、市民生活にあらゆる角度から介入することも可能な政府をどれだけ市民がコントロールできるのかという視点です。
自治とは、本来自由な発想に基づくものなので、要らぬ政府のおせっかいはできる限り排除をする必要があります。だからこそ、市民と議会及び行政との役割分担を明確にすること、また、市民から議会、市民から市長への信託関係を明らかにしておく必要があるものと考えています。
以下、幾つかの論点について述べます。
1、市民提言案からは削除されたものの、議会修正案に復活したことの一つに、議会と市長の設置条項があります。地方自治法では、議会や市長の設置が市民に保障されているという考え方もありますが、むしろこれは中央集権時代に、国家に都合よく、半ば強制的に義務づけられてきた仕組みだといえます。今、この仕組みを地域からとらえ直す必要があるのです。修正案の中では、議会を設置し、他方に市長を配置するという二元代表制を担保しつつ、その緊張関係のもとで地域運営をしていくことを明確にさせました。自治体の意思決定は間接民主主義の上に成り立つので、直接的に市民がかかわれるチャンネルが少ない現実を踏まえたとき、議会、市長の設置根拠を明らかにすることの意義は大きいと思います。これは市民提言案を受けた議会の修正案で注目できるところです。
2、次に、市民提言案の策定過程でもかなり議論のあったところですが、市民の義務についての問題です。自由を原点とするならば義務を課すという発想そのものに疑問があり、あえて条文化する必要があるのかと問われるのは当然のことです。
しかしながら、社会生活における自由には人間的理性が問われます。社会生活の中で何かの役割を果たすというとき、そこには義務が伴うことになります。また、そのときに求められる発言と行動への責任と、将来への配慮をするということは、無条件で絶対的な自由はそこにはないことからも考えて、義務を伴うことは自然だと思います。他人とのつながりなしに、一人の力でまちづくりを進めることはできません。市民提言案には、その覚悟を引き受けてまちづくりをしていこうとする市民の意思があらわれているものと思います。
条例では、「市民」という言葉には事業者も含まれると解釈されます。来年度には、都市計画的な観点からまちづくり条例を策定する予定ですが、この条例策定の精神の柱にもなるものです。マンション紛争などをめぐって問われている事業者責任のあり方について大きく示唆しながら、今後のまちづくり条例策定作業が進められると考えます。
また、市民のまちづくりについての権利が保障され、その行使は自由意思に基づくとして位置づけてありますが、市民がその権利の行使をする、行使をしないではなく、権利の行使が何らかの理由で妨げられていると感じた市民に対する行政の配慮も明らかにしました。ここも条文化することが踏み込み過ぎだと議論の分かれるところでしたが、私が市外で進められている自治基本条例のフォーラムなどに行って耳にするのは、この条例は結局、積極的に参加している人だけのためにあるのかという素朴な市民の問いかけでした。まちづくりの権利を明確化することで生じるかもしれない格差に不安を抱く市民がいる事実にも目を向け、そのことを踏まえた上で、あえて明文化させたことで自治基本条例が市民にとって使えるツールになるという多摩市自治基本条例に趣をつけ加えることができたと思っています。
3、次に、第三者機関として想定されてきた自治推進機関の問題です。現行の法制度の中では、どうしても諮問機関としての設置しかできない制約があります。その制約を乗り越えられなかった部分については悔いが残りますが、今後の大きな課題として、諮問機関であるけれども、どれだけ第三者的な要素を持たせつつ運営を講じていくのかというところで、行政のみならず、議会、そして市民自身も挑戦していく必要があるでしょう。ここは、多摩市民が今後の自治を進めていくための大きなかなめになるものだと思います。
最後に、自治基本条例の最高規範性についてです。厳密に法解釈をするときには憲法がすべてのよりどころになることを否定するものではありません。しかしながら、自治体の憲法とも言われる自治基本条例に求められるのは、ほかの条例などからの優位性です。その優位性をどこまで担保できたのかについては、修正案の中では盛り込めなかった自治基本条例の改正手続もあわせて、今後十分に議論の余地があるところです。修正案では行政案の総合的規範という極めてあいまいな表現を変更したことで、この条例の存在意義はより明確になりました。現状、まちづくり権という新しい概念を持つ権利は、憲法の中では具体的かつ明確な保障がなされていないことをつけ加えておきます。
以上が修正案で大きく論点となったところです。
さて、もう一つ、この時期の議決がふさわしかったかどうかという意見があると思います。もう少し議論を尽くすべきだという主張です。実は修正案で話をまとめることに一致したために、時間を区切って審議をしてきました。修正案にはせず、市民提言案や行政案を土台にすることを前提に、議会として条例制定を試みるという手法もあったと思います。議員の議案提出権を生かすとすれば、何もわざわざ修正するのではなく、昨年の12月議会、行政案を規定する上で改めて議員の権利を行使するべきだったとも言えることでした。
しかし、また一方では、修正すら必要ないと考える議員の立場も考慮しなければならず、自治基本条例の制定を共通目標としてきた議会にとっては、精いっぱいの着地点ではなかったかと思います。自治基本条例には完全形、完璧な形はありません。どこの時点においても議論をし尽くせたのかどうかに一抹の危惧はありながら、ベストではなく、ベターを追求していくのだと思います。
市民提言案の作成過程においても、調整案の確定に当たっても、その思いは同様だったのではないでしょうか。さまざまな見解を持つ人による合意形成の難しさ、まさに市民社会そのものだと思いますが、多摩市をいいまちにしていきたいとの目標は同じでも、意見の調整を講じていくことの難しさは存在します。これは総務常任委員会における審査でも実感できたことです。条例が可決された後、最も問われるのは議会です。それはまちのルール、すなわち条例を最終的に決定するのは議会だからです。決定した責任をどのように果たしていくのか、市民のみならず、行政に対しても示していかなければ説得力は持てません。
また、自治基本条例の周知が不足していると常に指摘されているにもかかわらず、条例制定を行う意味をいま一度考える必要があると思います。
社会一般の条例というと、住民を縛りつけ、違反者は罰せられるととらえられがちですが、自治基本条例の実効性とは市民みずからが実践することによって担保されます。実効性とは、まちづくり権という市民の権利が侵害されたとき、初めて効力を発するものであり、参加するかしないかはまさに市民一人ひとりの自己決定にゆだねられているのです。市民主権の立場から明らかにされるまちづくり権は、実践とともに進化するものです。市民の持つまちづくり権という権利にある幅広さ、奥深さに対し地方政府が不適切な介入をし、その可能性を狭めてしまわないことを望むものです。
市民の自治はいつもささやかな一歩から始まります。小さく生んで大きく育てる20世紀型の発想から脱却しなければならないという、社会全体が混沌とし模索中である時代の変わり目に置かれた今、本条例の策定は未来につながるまちづくりのスタートラインになることを強く認識しています。
以上を申し上げ、委員会修正案可決の討論といたします。
(松島:注)
条例は委員会で修正されて本会議での採択となったが、本会議でも共産党会派から修正案が提案されるなど複雑な採決となった。委員会修正案が挙手多数で採決され、修正案を除く原案も挙手多数で採決され、条例が成立した。平成10年から、まる6年が経過していた。
今読み返してみて、超党派の議員16人が議会主導での条例制定を目指して勉強会を開き、その勉強会には市の幹部職員も参加して一緒に勉強したこと。そして、市長逮捕・突然の市長選挙で勉強会のメンバーは、市長選で3陣営に分かれて戦い、選挙後は勉強会は自然消滅してしまっていた事などを思い出す。2012年10月記