「ちょっと寄り道」
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東海道四〇〇年祭シンボルイベント
 蒲原「ゆめの宿場町」見学レポート

広重画−蒲原 2001年8月25日〜26日、静岡県東海道四〇〇年祭実行委員会主催のシンボルイベント、蒲原町「ゆめの宿場町」が開催された。 26日(日)に見学してきたので、その様子、並びに欲張り旅行が身上な私はその周辺を散策してきたので併せて紹介する。

 蒲原は三島と静岡の中間(やや静岡寄り)に位置し、近くに富士川が流れることで、米や塩を運ぶ舟運の輸送基地として栄えた宿場である。
 安藤広重が描いた最高傑作とも言われる「蒲原夜之雪」(左画)の舞台でもある。(温暖なこの地に雪が降ることは稀なので、謎の作品でもある)

 JR東海のウォーキングきっぷ(企画きっぷの紹介)の蒲原〜興津コースが余っていたので、これを四割引で利用。今回で7回目の利用、よって次回からは五割引で名古屋往復ができる。
 このきっぷは静岡まで行くことができるので、新幹線で静岡に。JRの出口を出なければ、清水から蒲原の何れかの駅までこのきっぷで行けるのだが、静岡で一旦下車し、静岡駅アスティ内の駿府楽市で販売している街道ウォークマップの東海道・姫街道を買い求めた。姫街道に関する情報を得たかったからである。このマップを販売しているのは静岡県内の数店だけである。東海道四〇〇年祭推進室に問い合わせれば、遠方からでも取り寄せることはできるようである。ついでに「塩の道」、「身延道」、「下田街道」のウォークマップも購入した。この店は朝9時から営業している。10時前だったが時間を潰さずにすんだ。

 次に、駿府城址に行った。5月に立ち寄ったとき、日本庭園と茶室が8月オープン予定で工事を行っていたので、それを見ようと思った。しかし、工事は遅れているようで、開園は10月中旬になるとのこと。仕方なくその場を後にし、5月の東海道ウォークで間違えた旧道を歩くことにした。今回は間違えずに歩くことができたが、特に目新しい発見もなく(府中一里塚は7月にクルマで訪れている)、バスで丸子(まりこ)市街に向かった。特に丸子を歩くわけではないが、なんとなく立ち寄りたかった。安倍川駅まで歩き(まともな地図を持っていなかったので回り道をしたようで20分以上掛かってしまった)、東海道本線で興津に。前回撮り損ねた興津の一里塚跡をデジカメに収め、再び電車で新蒲原に向かった。


東木戸土蔵内 新蒲原駅に着いたのは11時54分。電車は10分おきにあるが、大勢の人が下車した。まずは旧東海道とは反対の海側の道をぞろぞろと東木戸に向かって歩かされた。イベントは東西の木戸間で行われている。すでに12時なので御輿行列は終ってしまったようだ。東木戸でスタンプラリーの1つ目を押してもらい宿内を歩き始めた(写真左)。

 普段は見学できないと思われる、渡辺家の3階建て土蔵の内部も公開していた(写真右)。資料も販売していたが、自分が知りたい情報ではなさそうにので買わなかった。宿場に関するものも載っているようだったが・・・。
 
 ふれあい写真館なるところでは、デジカメで写真を撮ってもらい、通行手形に張ってくれるサービスを行っていたが、込んでいるようなので諦めた。

みせの間ギャラリーコロムビア蓄音器 蒲原宿内の店を含め、民家の軒先でも「みせの間ギャラリー」と称して、各家に伝わる歴史的な文化を披露していた(左写真2点)。30代の私には懐かしいというよりも初めて見るようなものが多かった。
 スタンプラリーは西木戸で10個目を押印し、記念品はいろいろ選べるのだが、下の写真の手ぬぐいをゲットした。記念品

 1時も過ぎたので、昼食を取ろうと、県道沿いにある「よし川」で桜えびのかき揚げ定食を食べた。イベント期間中ということで、メニューは数種に限定されていた。店内は込んでいたので定食の写真を撮るのは諦めた。この「よし川」は、ホームページも出しており、けっこう有名なようだ。
 よし川:URL http://www.geocities.co.jp/Foodpia/8762

 再び、イベント会場に戻り散策。下の写真のように、蒲原太鼓、清水次郎長音頭、人力車、コーラスと居合披露など様々な催しが行われていた。名産品などの露店も多数出ていて、東海道沿線や塩の道沿線で山梨や長野方面の特産品も出ていた。この日は暑かったので、一番人気は何処の名産ということはないカキ氷やジャースを扱っているところであった。いっぷく処なるところでは無料の冷茶と麦茶サービスもあったが、2時前には品切れ閉店となっていた。

蒲原太鼓次郎長道中人力車居合披露

塩造り竹久夢二展 海辺の町ということで、かつては塩づくりも盛んだったようで、伝統の塩づくりの実演コーナーなどもあった(写真左)。
 大正時代の洋風建築「旧五十嵐歯科医院」(写真右:国登録有形文化財)は、修復工事を終え、今回は竹久夢二浪漫展の会場になっていた。見学者が多く、あまりじっくりと見ることはできなかった。順路に従って一通り廻ったが歯医者という感じはしなかった。
 他に竹馬や竹とんぼ、メンコで遊ぶコーナーや、職人さんによる伝統工芸品を紹介しているところなどがあった。

手刷木版画手刷木版画色着途中
 私が一番興味深かったのは、広重画でお馴染みの蒲原夜之雪を手摺木版画で作成する工程の実演であった。蒲原町所有の版木を使い、そこに色を付け、水加減なのか絶妙のぼかしも加え、一色ずつ色を加えて完成させるものである。
 写真は、その作業風景と色が加えられていく毎の変化を展示してあるもので、湿った紙に寸分の狂いなく位置合わせができることにも感心した。
 
 イベントは午後4時で終了である。私は3時40分くらいまで散策を楽しんだ。人手は幾分減ってきたが、時間の割にはまだ賑わっている。イベントとしては成功の部類に入るのだろう。個人的には、ひっそりしている方が情緒があって良い町だとも思ってしまったが・・・。夕刻になって、ほぼ各家庭にある町民の方々が作った行灯に灯が燈ったところも見てみたかったが、今日のところは帰路につくことにした。


由比橋由比の町並み 帰路につくと言いつつも新蒲原から電車で一駅の蒲原に降り立った。ウォーカーなら一駅(2.4km)くらい歩けという感じだが・・・。個人的に気に入っている由比を歩きたかったのである。由比のかつての宿場は由比駅より蒲原駅に近い。気に入っている理由は、いづれ別の項目でも記すつもりだが、30代の自分が懐かしい感じのする町だからだと思う。白須加や御油・赤坂は初めて通ったときは昔ながらの町並みを感ずるが、懐かしさは感じないのである。由比は、現代の生活感もある町だと思うのである。由比川に掛かる橋は3月に歩いたときは建設中であったが、今は車は通れないがほぼ完成していた(写真左)。右の写真は、由比川橋を渡った後の風景である。自分としては、ここから由比駅までが気に入っているのである。由比駅より先も良いところなのだが、今回は駅から電車で静岡に向かうことにした。

稚児橋 由比駅で時刻表を調べると、静岡で新幹線に乗るには静岡で40分待ちになることが分かったので、企画きっぷを使わず、普通の切符を買って清水に向かった。清水駅からちびまる子ちゃんの商店街(?)まで10分程度。巴川に掛かる稚児橋(写真左)も完成間近という感じであった。

 清水駅からはJR東海の企画きっぷで乗車。正規の使い方をしているのに、静岡駅の新幹線の自動改札ははじかれてしまった。最近は駅員も慣れているので、新幹線の方は初めから自動改札を使わない方が良いのかもしれない。静岡駅のホームで駅弁とお茶を買い、こだまで新横浜に。自宅には午後8時20分頃到着した。


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