外部講師による講習会で得た知識でとても役に立ったのが、不安全な行動不安全な状態に関する解説でした。
 教えていただいたのは、
・不安全な行動、また、不安全な状態が事故を生む
・発生した事故には、ほとんどの場合 不安全な行動と状態の両方がある
・事故防止のためには不安全な行動不安全な状態両面への対処が必要
ということでした。


 例えば、「通路にあるマンホールの蓋が少し浮いていて段差ができている」との指摘を受け、設備担当者がマンホールの蓋の状態の確認を指示され、周りに柵を設置せず一人で確認作業をしている最中にトイレに行きたくなり、蓋をはずしたままその場を離れ、その間に出張に出ようとしていた人が蓋につまづいて転倒しマンホールに落ちそうになった場合、不安全な行動不安全な状態として、
 行動:蓋をはずしたままその場を離れた
 状態:担当者はトイレに行きたくなり焦っていた
 状態:通勤時間ではないので誰も通らないだろうと思っていた
 状態:点検中のマンホール周りに柵が設置されていなかった
 状態:柵を設置するための機材が十分に準備されていなかった
 状態:安全を守っていくにあたっての姿勢や考え方、また、安全確保のため
    具体的に実施すべきことについて 教育が十分にされていなかった
などが考えられます。


 そこで不安全な行動のみならず、不安全な状態にも目を向け、作業前の準備(トイレに行っておく等)を心掛けたり、「誰も来ないだろう」ではなく「来るかもしれない」と思うことで安全を守ることができるんだと心構えを教えたり、機材の種類や使い方の教育をしたり、機材の数や在庫状況を管理したりすることで、「蓋をはずしたままでその場を離れないこと」といった不安全な行動への対処のみで終わらず、その背景にも目を向けた対策ができるようになります。
 もし、不安全な状態を考慮しない設備管理担当課がマンホール内点検を長年続けていけば、不運な状況が重なった時、酸欠や有毒ガスで悲惨な事故になり、職場の仲間を亡くすことになるのではないでしょうか。


 本講習会の後、R部では毎週のミーティングでその週の司会者が、α社グループ内で発生した様々な事故・ヒヤリの報告をすると同時に、ランダムに指名して、それらの事故・ヒヤリにおける不安全な行動不安全な状態について説明(推測)をさせるようになりました。


 このやり方は、ミーティング参加者全員が事故の内容を把握し咀嚼して 不安全な行動不安全な状態を抽出し、指名されれば それらについて説明する必要がありますので、危険認識・事故防止対策のためのとてもよい訓練になっていました。


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