K地区の5階建ての本館(事務棟)には螺旋状の緊急避難袋(袋内を螺旋状に滑り降りる)が設置されていて、火災発生等 階段で避難できない場合に備えられていました。
 その避難袋は、安全課で専門業者に依頼し、毎月点検が行われていました。


 席替えで4階の避難袋の近くの席になった後、袋を見てみようと手順通り避難袋のカバーを手前に引いてみても、カバーは動かず はずせませんでした。
 なぜ動かないのか? 火災の際にはすぐに避難袋を取り出し 開けた窓から袋を投下して 地面まで届かさなければいけないのに 困った状態だなと思いながら、原因を近くの人と一緒に調べました。


 原因は、カバーが袋に乗り上げて、鉄板製カバー端部の折り返し部が袋に引っ掛かったせいでした。
 点検時に4階の窓から地面までの長さの袋を広げた後、新品のようにコンパクトに折りたたむことができずに嵩が増し、カバーが袋に乗り上げることになってしまったものと分かりました。


 すぐに安全課に不具合状況を報告し、「箱内に収まっている避難袋の状態だけを確認してOKとするのではなく、緊急避難用のシステムとして点検してほしい」と申し入れました。


 しかし、その後も、カバーの位置が右また左に片寄ると、避難袋を床に固定するためのフレームに鉄板製カバーの端部の折り返し部が同様に引っ掛かってカバーを手前に引けなくなることが判明しました。
 さらには、近くの席の人が避難袋の投下口となる窓を開けてみようと、レバー状のロックを解除してみると、老朽化でレバーが途中で止まってしまい、窓を開けられないことが判明し、その件について安全課に指摘をしていました。


 点検毎月きちんと行われ、カバーに貼付された表にはOKの検印が毎月押されていましたが、現実としては 避難システムとして機能していなかった わけです。


 余談:緊急脱出用システム チェックシートの作成

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