研究開発施設としてK地区が設置されてから 30年近く経っていました。したがって、建屋の窓の開け閉めやドアの開閉がスムーズにいかないということが 散見されるようになっていました。


 そのような中で、本館(事務棟)と試験棟との間の3階連絡通路(一般の集合住宅で言えば4階相当)から大型の網戸が本館への通用口付近に落下するというヒヤリが2013年11月中旬に発生しました。
 掃除をしていた人が 網戸の動きが悪いので 力を入れたところ 落下してしまった とのことでした。幸い真下に 人はいなくて 人身事故にはなりませんでした。


 すぐに暫定対策として、
 @窓を開けて掃除はしない
 A窓の開閉は原則禁止
 B網戸の開閉禁止
という指示が出されました。
 また、11月末の安全委員会で、
 恒久対策:業者に総点検依頼し、対応策検討する (交換、固定、取外し)
       期限:翌年3/E  担当:安全課
が決定されました。


 ところが、翌年6月初旬に ふと同じ3階の連絡通路の窓を見ると、網戸が斜めに傾いだ状態で、無理に動かそうとすると 落下網戸による事故になりかねない状況になっていました。
 前年に起きたヒヤリは忘れ去られ、対策内容も日程も反古になってしまっていたわけです。


 その旨連絡すると、6月末の安全委員会で「原則網戸撤去」という対策が提案されました。
 網戸が スムーズに動くように メインテナンス を行い、網戸を動かす時は、車運転時の “大丈夫だろう運転” でなく “かもしれない運転” 推奨 のように、「落ちるかもしれない!」想定して対処 するように 指導すればよいのではないかと思いましたが、そうはなりませんでした。
 網戸は、通気・換気時の虫侵入防止という役割があって装備されているわけですので、その機能を殺さないよう「網戸 動かすべからず!」と書いたシールを貼って対処することもできたのではと思いましたが、そういう対処が行われることはなく、原則網戸撤去となってしまいました。


 クレーンで吊った荷物が落ちる というヒヤリがあると、そのヒヤリは 重大ヒヤリ として全社に展開されますので、その都度 安全課では 他地区で起こった重大ヒヤリを紹介し、「 この重大ヒヤリから学ぼう! 」と K地区全体を指導していたにもかかわらず、人のいる可能性のある通路への大型網戸落下の件は 長期間 放置していたわけです。


 また、本件は「重大ヒヤリとして全社に展開すべきではないか」と安全課課長に進言しましたが、受け入れられませんでした。
 注: 「吊り荷の下には入るべからず」 というルールがあり、それに従って
   クレーン作業が行われていますが、「網戸の下を通るべからず」という
   ルールは 当然ながらありません


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