第四章2節に述べましたとおり 安全管掌役員の指示を受けた人事部副部長は、K地区における安全管理の形骸化問題を、「私は安全の専門家ではない、個別の案件にいちいち対処はしない」と言い、問題提起を一蹴してしまいました。
確かに4段階もの安全管理の“砦”の方々が「K地区の安全管理に特に問題はない」と言い切ってしまえば、安全管掌役員や人事部部長・副部長がそれを覆すために実態調査を行うことは事実上困難かもしれません。
ただ気になるのは、α社においては人事・総務系の上級管理職の方々が、工場の総務部長になると同時に、工場全体の安全管理を大所高所から取り仕切る安全管理者になるという慣習です。
「私は安全の専門家ではない、個別の案件にいちいち対処はしない」と、全体像を把握して判断をするという姿勢が全くない人に、工場全体を取り仕切る安全管理者が務まるとは とても思えませんでした。
上述のような慣習が、安全管理者としての教育を受けることもなく、また、心構えもなく、現場・現実と向き合うことをしようとしない安全管理者 を生み出し、安全管理の形骸化を促進 してしまうのかもしれません。
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