第四章3節に述べましたとおり 監査役は、社の運営から独立した立場ではなく、運営側の意向に沿って監査する という役目のようでした。


 本来 監査は、社の運営のチェックをするためのもの のはずですので、運営主体のみならず 周辺からも情報を得て、また、独自に調査をして、問題があれば それを正すべく 指摘するのが、本来やるべきこと ではないでしょうか。


 ところが、K地区のリスク監査でも、第二章第三章に記した実態を 少なくとも 2015年には把握していながら、2016年1月に行われたリスク監査で、3段階中リスクの最も低い レベル「C」 で「大きなリスクは見受けられなかった」という判断でした。
 ということは、そもそも リスクの定義私の思う定義と異なっている のではないか と思うようになりました。


 大きなリスクとは、死亡や腕の切断のような 回復不能な怪我 などの事故発生も指すと思っていたのですが、そうではなく 会社が重大な責任を問われる事態だけが 大きなリスク定義 だったようです。
 危険な状態に手を打ち安全を守っていくための 最後の 五つ目の “” も、事実上 機能しない ものになっていたわけです。


 考えてみれば、確かに α社定義の “リスク” を回避するために、5つ“砦”立派に機能していた と言えそうです。
 因みに K地区の総務課長(参照:第四章5節)は、その後 本社に異動となり、監査役を支える部署の長に就任していました。


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