安全管掌役員に問題提起をしてからひと月ほど経ったある朝、打ち合わせ中に 突然応接室に呼び出されました。
 応接室には“人事および安全管掌の役員”からの指示を受けた人事部副部長 と K地区の業務部長と総務課長がいました。


 話は、K地区の不適切な安全管理に関して、
「すでに改善をしている、特に大きな問題ない」
「過去のことをとやかく取り上げるべきではない」
「会社として決定したことに従うように」
「いったい何がしたいのか」
「個人名を出して掲示板で批判するのはパワハラだ」
「従えないなら、会社に残ってもらわなくてよい」
といった内容でした(当時私はラインの管理職を降りて再雇用でした)。


 反論として、
「あれほどの不適切な安全管理にもかかわらず、“特に大きな問題はない”とは
 驚きだ」
「対症療法ではダメ、αウェイに則って 原因を深掘りし、根本的な解決策を
 見い出し、再発防止を図るべきだ」
「5年ほど内部で改善に努めたが、安全課課長・安全委員会・総括安全管理者も
 機能しない状態だったので、K地区の決定に異論を唱え、本来安全を守る
 べき立場であるマネージャーの個人名でも記載した」
「その間の経緯や理由は、きちんと掲示板に記載している」
「酒気帯び運転では全社に個人名を出して懲罰をするのに、酒気帯び運転と
 同様の事故発生危険のある不適切な安全管理は放置するのか?」
「安全は、実際に起こった事故やヒヤリの原因を その根本にまで遡って対策を
 行うことで保たれる、現場ではそれが都度実行されているが 管理側問題では
 それが無いので、管理側でも同様に 問題発生の都度実行し、現場と管理側の
 両輪で 安全性向上を図っていくようにすべきだ」
「K地区の安全管理の実態をよく見て 判断して頂きたい」
と繰り返し説明しても、

「私は安全の専門家ではない、個別の案件にいちいち対処しない」
ということでした。


 安全推進部部長にしろ、人事部副部長(安全管掌役員の代理)にしろ、α社の指導者たるべき上級の管理職が 社是αウェイの 現場・現物・現実・原点・顕在化の重視 から なぜ こうも はずれた行動 をしてしまうのか、将来は 工場全体の安全管理者になるような立場の人が なぜ 全体像を把握しようとすらしない のか、また、1節で紹介しました社長のSLQDCメッセージなぜ 無視 してしまうのか、不思議な現象を 目の当たりにしたしだいです。


 そこで、安全管掌役員に「本件は監査役に上げさせて頂きます」と連絡し、本問題を 運営から独立しているはずの監査役 に上げることにしました。


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