どの地区においても 工事が必要な場合、外注業者に発注して 工事を行ってもらいます。工事を実際に行うのは 内部事情に精通していない外部の方々ですし、外注業者の中には 安全や火災に十分の注意を払わず 工事を行う業者もいます。
 ある地区での外注工事時の事故を契機として、2010年4月に 再発防止を図るべく、本社の安全推進部から「工事業者への安全管理面での徹底管理」を求める通達が出され、そのための方策が展開されました。


 K地区においても 本社通達に基づき 安全課でK地区用に【外注業者防災手帳(K地区版)】が準備されました。
 そこには 構内で作業する工事業者の方々に対し「この手帳を熟読理解して 記載事項について厳守し、火災・ケガなどの災害を 未然防止するよう」 求めていました。
 特に火災については、「構内で火気使用工事を実施する場合は、必ず“火気使用願い”を提出し、安全課の承認を得ること」となっており、消火器の準備や危険物(燃料・潤滑油・有機溶剤など)の工事場所からの排除等々 火災防止に関する詳細な指示が記されていました。ちなみに火気とは「溶接・溶断・グラインダなどの火焔や火花を発するもの全て」という定義でした。


 研究開発では、特殊な危険に対処せねばならないことは 部門ごとに設定された安全管理者 でも述べましたが、研究開発のテーマが変わって 使用していた試験装置を廃棄する場合には 特に注意する必要があります。
 排気ダクトに油分がべっとりと貼りついていたりするだけでなく、有毒物質が蒸着していたり、充電された高電圧の電荷が大量に残っていたりと、一般的にはあまり無い危険が潜んでいる可能性があるわけです。
 それで 試験システム全体の中で どこにどんな危険な状況があるかは、実際に試験を実施していた専門的知識を持つ部署が 工事する側に 責任をもって伝える必要があります。


 したがって 外注工事を必要とする部署は、具体的工事内容や選定した業者などとともに 工事に伴う危険性・懸念事項を記述して 安全課に工事申請をし、 申請部署安全課両輪外注工事時の安全を確保 する仕組みになっていました。


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