第一章10節で述べました通り、外注工事を行なう際には工事の内容を明確化した上で安全課に申請を行い、その内容(火を使うか、シンナーなどの危険物を使うか、高圧のガスボンベを使うかなど)に応じて 安全課で安全管理の仕方を決めることになっていました。
ある時、設計室(CAD室)の隣の会議室で床張替工事が行われることになりましたが、火や危険物を使う工事ではないということで、ほぼ業者まかせで工事が行われました。
その工事中や工事後に設計室使用者からシンナー臭がして設計室にいられないという苦情が寄せられました。
私がその部屋の管理責任者だった関係で苦情を受け、安全課にどのような工事がされたのかの調査を依頼しました。
その部屋は所謂OAフロアで二重の床になっており、上床は カーペットを貼った取り外し可能な正方形金属パネル(一辺40〜50cm)が 敷き詰められた構造になっていました。工事は古びたカーペットを貼りかえるための工事でした。
工事関係者に確認しましたら、
・古いカーペットを剥がし、金属パネルをきれいにし、
・新しいカーペット接着時 位置がずれて端部が隣のパネルにくっつき、
・床全体が一体のような状態になってしまいパネルが外せなくなった
これではOAフロアとして機能せず、床下の配線を変えたい場合にも変えられなくなってしまうので、
・接着したカーペットを一旦はがし、
・カーペット貼り付け時の位置決めを正確に行いながら、
・貼りかえ工事をやり直した
とのことでした。
ところが、安全性また健康問題の有無を明確化すべき本件の調査は行われず、なぜシンナー臭がしたのか不明のままでした。
当初は危険物(シンナーなど)を使わない予定の工事であっても、トラブル発生でシンナーなどを使うことになったのではないかなどについても、調査・報告されることはありませんでした。
そして、その理由は、1年近く経ったころ 驚くべき安全課による外注工事管理の実態(18節) が明らかになり、知るところとなりました。
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