前節で説明しました危険物使用懸念工事の放置問題が発生して1年近く経った2015年の6月、毒物・劇薬を含む薬品や危険物(有機溶剤等)が管理されている部屋のドラフター(有機溶剤を取り扱う際などに人が有害物質を吸い込まないようにする装置)の更新がありました。
更新工事中に その部門の長が 安全パトロールで その部屋に入った際、火気使用工事であったにもかかわらず、ほぼ業者まかせの工事になっていたことに気づき 安全課に対し安全管理不良の指摘が行われました。
第一章10節で述べました通り、2010年4月に外注工事時の事故を防ぐべく、本社の安全推進部から「工事業者への安全管理面での徹底管理」を求める通達が出され、そのための方策が展開されました。
特に火災については「構内で火気使用工事を実施する場合は、必ず“火気使用願い”を提出し、安全課の承認を得ること」となっており、消火器の準備や危険物(燃料・潤滑油・有機溶剤など)の工事場所からの排除等々、火災防止に関する詳細な指示が記述されていました。
ところが上述の部門長による指摘で、安全課が 火気使用・危険物持ち込み・高圧ガスボンベ使用など危険要素が3項目以上ある場合には全社ルールに則った外注工事時の安全管理を行うという独自ルールで運営していたことが判明しました。
外注工事を行う場合、内部事情に精通していない外部の方々が作業をするわけですし、外注業者の中には安全や火災に十分の注意を払わずに工事を行う業者もいます。
そのため厳しいルールが制定されていたわけですので、すぐさま修正が行われ、火気使用など1項目でも危険要素があれば厳重な管理が行われるようになりました。
しかしながら、なぜ 本社通達の趣旨に反した運用ルールにしていたのか を明らかにして 再発防止を図るという 根っこのところからの対策が とられることはありませんでした。
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