安全課課長が交代した初年度(2009年度)のことですが、開発中の新型動力伝達装置の分解組み立てをしていた現場で、開発に従事していたメンバーの一人が クレーンで吊り作業をしていた際、吊り具を機械のエッジ部で 傷つけてしまいました。


 傷つけてしまった吊り具を 所定の保管場所に戻すわけにはいかないので、吊り具管理担当部署に 持っていきましたが、管理担当者が不在であったため、現場に戻り 一時保管をしました。
 その後試験業務に追われ、一時保管した吊り具のことを忘れてしまい、1ヶ月ほど経ってから 管理担当者に届けたということでした。


 本件は、安全課課長の指示のもと 安全委員会において “厳重注意案件” として取り上げられ、機材破損時の対応や報告のあり方、また、クレーンでの吊り作業の仕方についても 議論が行われ、再発防止が図られました。


 傷つけてしまった吊り具を所定の場所にそのまま戻すというような “危険に直結する行為”をしたわけではない のですが、本案件(返却忘れ)のような場合も 厳重注意案件として 厳重に注意して 強力に5Sの徹底を図っていくのかと、その時は その徹底した指導ぶりに 驚かされていました。


 第1、および、4節 で紹介した事象 と 上記の“5Sの徹底” との 落差は何なのか?
 安全管理上の不可解な事象は起こり続けました。


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