新型電池評価設備導入時 安全確認無視問題 で述べました試験設備では、電池に異常が発生して 有毒ガスや爆発性のガスが発生した際には センサーで検知し それらのガスをエアでパージして 安全を確保することになっていました。
 従って、エアパージに使用するエア供給システムは、安全確保上重要な設備 でした。


 新型電池評価設備導入から2年あまり経ったころ、そのエア供給システムに関して、安全委員会と同時に同一メンバーで開催される7月28日(月)の環境委員会の環境活動報告で、「24時間稼働のエア供給システムの消費電力が大きい」「使用電力削減のため工場用エアーの停止を検討中」ということで、「使用部門はコンプレッサーへの変更可否を確認し、8月1日(金)までに設備課へ連絡のこと」という指示が出されました。


 多くの部署の数多くの試験室や試験装置が関連しますし、安全にも関わる設備ですので、十分な説明と周知また検討時間が必要と思われたのですが、「安全に関わる装置については特に注意して検討するように!」などの説明はなく、省エネ案件として、わずか4〜5日後が回答期期限 でした。


 安全課から 安全関連装置にエアを使っている部署に 個別に通知されたわけでもありませんでしたし、各試験室の危険物の保管状況さえ把握していない安全課(参照:第二章8節)が 要注意の試験室や装置を把握しているとも 思えませんでした。
 また、解消されない安全管理者の担当部署と責任内容の不明確問題 もありましたので、新型二次電池評価用設備で試験を行っているJ地区在籍の部署に 情報を把握しているか確認を行ったところ、幸いR部の共同試験担当者から 本件について既に連絡が行っていました。


 委員会で調査の指示を出しただけで 本当に伝わっているのか、実際の情報伝達力の簡単な調査をしてみた方がいいのではないかと、調査票案を添付し 上司を通して 委員会に提案をしました。
 ちょうど 安全課の不適切な安全管理問題が 安全委員会の俎上に載っていた時期だったせいか、提案は受け入れられました。


ところが、調査はK地区在籍の部署のみで行われ、J地区の開発部署は調査対象外 にされていました。
 二次電池の評価試験を行っているチームのように、試験の実施場所と上司のいる在籍地が異なる場合が、情報伝達漏れなどにより事故発生の確率が高まるのは容易に想像できるはずなのですが、理解に苦しむ判断でした。その旨伝えても J地区の関係部署での調査が行われることは ありませんでした。


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