安全に関する様々なマネージメント問題の改善を安全課課長に求めても、その場しのぎの対処や対症療法的な対策であったり、「現在担当者を指導しています、改善を検討しています」という回答が繰り返されたりするばかりで、問題を受け止めて その根っこに手を打つ兆しは 認められませんでした。


 上司である業務部長に実態を伝えて改善を求めましたが、改善が図られることはなく、安全課課長にまかせっきりの状態でした。
 さらにK地区のトップである総括安全管理者、労働組合のK地区役員、労使安全委員会に改善を求めましたが、安全課の対応が見直されることはありませんでした。


 現場事故やヒヤリが起こると、現場現物や関係者の状況を把握した上で 根本原因まで遡って原因の究明をし、それぞれの段階の原因に応じた対策を行い、それを水平展開して再発防止を図っていきます。
 例えば、第一章6節の余談で述べました事例 “設備担当者がマンホールの蓋の状態の確認を指示され、周りに柵を設置せず一人で確認作業をしている最中にトイレに行きたくなり、蓋をはずしたままその場を離れ、その間に出張に出ようとしていた人が蓋につまづいて転倒しマンホールに落ちそうになった” の場合、
 ・なぜ蓋をはずしたままその場を離れたのか
 ・なぜ事前にトイレを済ませていなかったのか
 ・なぜ柵をまわりに設けていなかったのか
 ・なぜそこを通る人はいないと思ったのか
 ・作業者への教育は行われていたのか
 ・柵設置のため機材は確保されていたのか
など、教育上また管理上の問題等 事故の背景にあるの原因にまで遡って究明し、それぞれについて対策を行って再発の防止を図っていました。


 しかし、否応なく“見える化”されてしまう現場での事故やヒヤリと違って、マネージメント側の問題(“事故”や“ヒヤリ”相当のできごと)は、意識的に“見える化”しないと見えづらいものです。
 それで “見えない化” が 容易な マネージメント側の問題 は 極力不問に付したかった のか、安全課におけるマネージメント問題では その背景にまで遡って原因を究明して対策・再発防止を図る ということはありませんでした。


 以下に 私の把握している不適切な事象の 代表的なものを記します。 

 表向きの指導的言動とあまりに異なる数々の不適切な安全管理、本来の任務と逆のことをし続ける安全課課長を なぜ 止められないのか 理解に苦しみました。


 各節で述べましたとおり、上司の業務部長や総括安全管理者また安全委員会に訴えても、無視また形式的な回答で 手が打たれることはありませんでした。
 本来 一人の管理職がミスをしたり、うっかりやるべきことを忘れたり、ついさぼったりした場合、上司たちが注意することで 深みに嵌ってしまうことを 避けられます。
 もし、適任ではない人が その任に就いている場合には、適した任務に就いてもらうようにすることで 深みに嵌ってしまうことを避けられます。


 ところが、なぜか 逆に 安全課課長を昇格させ、これまでの安全管理の在り方を良しとするような事態になりました。
 これでは K地区での自律的な改善は無理だと判断し、総括安全管理者(本部長)に 事前に連絡した上で、本社の安全推進部に K地区の安全管理の実態を訴えることにしました。


 しかし、そこでも また 本章で述べたのと 同様なことが 起こってしまいました。その事例を 次章で紹介していこうと思います。


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